写真●Motorola Mobility製の「Nexus 6」とHTC製の「Nexus 9」。「Android 5.0 Lollipop」を搭載する。
写真●Motorola Mobility製の「Nexus 6」とHTC製の「Nexus 9」。「Android 5.0 Lollipop」を搭載する。
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 iPhoneの新型が発売されるとともに、iOS 8が公開され、その配布がすでに始まっている。さらに、iPadの発表に併せ、そのiOS 8も再度のバージョンアップが予定され、まもなくOTA(Over The Air)での配布が始まるということだ。アップルによれば、iOSのバージョンアップ率はきわめて高く、断片化は最小限に抑えられているということだ。

 一方、Androidも開発コードネーム「L」で進められてきた次世代バージョンが、新Nexusデバイス発表とともに、「Android 5.0 Lollipop」となることが明らかになった。ただ、スマートフォンというデバイスがGoogle直販であるわずかなリードデバイス以外は、キャリアを経由して売られるものがほとんどという点で、バージョンの断片化を解消するのがなかなか難しい状況だ。リードデバイスとしてのLollipop搭載機は、11月には発売されるし、過去のNexus リードデバイスの一部も、OTAバージョンアップされることになっている。このあたりはiOSの事情と同じなのだが、携帯電話事業者経由で販売されたデバイスについては、iPhoneやiPadと異なり、システム更新が遅々として進まなかったり、提供されないケースも出てくるだろう。同じベンダーの同じ製品でも、バージョンがバラバラということが当たり前のように起こってきた。これは、デバイス各社と携帯電話事業者という二重のチェックポイントがあるからだ。

Windowsはどうだろう

 それに対してWindowsはどうか。WindowsはMicrosoftが直接エンドユーザーに届けるものも少なくないし、企業内で使われているWindowsも同様であるといえる。さらに、量販店などで販売されているプリインストール機に代表される世の中の多くのパソコンに入っているWindowsは、マイクロソフトがパソコン各社にOEM供給したものだ。

 こうした中でも、MicrosoftはWindowsの断片化をできるだけ最小限に抑えることに成功している。特に、近年の8から8.1、8.1updateへのバージョンアップの流れは、同社が今後のWindowsの在り方を模索するプロセスになっているようにも感じられる。OEM供給したOSを、開発元である同社の完全なコントロール下に置こうとしているのだ。その背景には、過去のハードウェアを強引に切り捨てなくても問題がなくなってきている状況もある。その流れの中で企業内のWindowsを今のように自社でコントロールできる状態が本当に続くかどうか。そのことは、今からきちんと考えておいたほうがいいかもしれない。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
フリーランスライター
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei