タブレットを含む Windows デバイスは、まだまだモバイル通信機能のないスタンドアローンのものが多い。デバイス単体で一般的なモバイル通信をサポートするには、サービス事業者から発行されるSIMカードを装着するスロットと、通信のためのモジュールが必要になるが、それらを実装するデバイスが限られているのだ。先日発売されたMicrosoft Surface Pro 3にしても、LTEへの対応予定はないという。
そもそも、企業で使われる Windows デバイスが、カンタンにインターネットに接続できては困るという管理側の事情もある。もちろん、コストの問題も大きい。ランニングコストはもちろん、デバイスそのものの価格も高くなる。
だが、今後は、そんなこともいっていられなくなるだろう。通信事業者側も、さまざまな戦略でこうした状況に対応しようとしている。
たとえばIIJは、先頃、日本マイクロソフトとマルチクラウドサービスで協業し、同社のクラウドサービスと、Microsoft Azureを連携させることを表明、閉域網サービスを提供することを発表した(関連記事:IIJ、インターネットを介さずAzureに接続するサービスを日本初提供)。
どこでも社内ネットワークに接続できるなら考え方も変わる
閉域網を使うことで、パブリックなインターネットを経由せずに各種のデバイスを、オンプレミス、クラウドサービスを問わず、企業のネットワークに接続することができるようになる。これまでVPNを使って確保されてきたようなセキュリティが、閉域網を使うことで、より安全に担保されるわけだ。
パソコンがカンタンにインターネットにつながってしまってはセキュリティ的に困るという管理側の論理も、ちょっとずつ変えていかなければならなくなるだろう。モバイルOSが台頭していく中で、Windowsパソコンがキャッチアップしなければならない重要な課題だ。AndroidにしてもiOSにしても、Wi-Fiのみの対応機器が数多く使われているようだが、本来であれば、もともと管理しやすさをアピールしてきたWindowsこそが、この領域に先行していかなければならないはずだ。