Googleが日本の教育市場向けと企業向けにChromebookの提供を開始した。具体的には、GoogleのChromebookプラットフォームを実装したハードウエアを、各パソコンベンダーが生産し、それをソフトバンクテレコム、ミカサ商事といった限定的なルートで販売するというものだ(関連記事:グーグルがChromebookを国内展開、企業・教育機関向けに7月から)。
Chromebookについてはご存じの方も多いと思うが、早い話がGoogleのChromeブラウザーしか動かないパソコンだと考えればいい。もっとも、Webしか使えないパソコンかというとそうでもなく、Chrome用のアプリはAndroidアプリと同様に数多く流通していて、それらをインストールすることができる。
自分のGoogleアカウントでChromebookにログオンすれば、ものの数分でいつも使っているいつもの環境がそこに再現されるという点で、単独のハードウエアを入れ替わり立ち替わり使うような現場では実に便利だ。他人のハードウエアであっても作業が終わったらアカウントを削除することで、きれいさっぱり履歴等はそのハードウエアから消え去ってしまう。同様に管理コンソールからの集中管理もたやすい。2日徹夜が必要だった配布前作業が5分で終わったといった事例も紹介されるくらいだ。
割り切りのプラットフォーム
およそパソコンでできることならなんでもできるWindowsに対して、Chromebookはプラットフォームとしては限定的な環境となる。その台頭がWindowsにとって脅威となるかどうかは考え方次第だ。実際に、WordやExcelといったOfficeアプリは、Microsoft自身がChrome用アプリとして提供している。とはいってもフル機能を持つOfficeではなく、Office Onlineへのショートカット的な位置づけだが、Officeが使えるプラットフォームがまた増えたという点では、iOSやAndroidと同じなのかもしれない。
それでも、今回発表されたハードウエアが、今のこの時代に、タッチに対応していないという点はどうかとも思う。その割り切りが今後の展開にどのような影響を与えるかが興味深い。比較的廉価なハードウエアとして提供されるChromebookだが、その価格帯にWindowsもチャレンジしようとしている動きもあるだけに、先のことが気になってくる。
フリーランスライター