写真●Windows 10の日本語ページ
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 この夏のリリースに向けてWindows 10のビルドが着々と更新されている。仮に「この夏」の定義を7月31日と考えたとき、残された時間はあと60日強しかない。現時点でのビルドの状態を見ると、本当に7月31日にリリースできるのかと思ってしまうが、奥の手があるのかもしれない。

 これまでのWindowsは、完成した時点でMSDNやTechNetなど、開発者やIT管理者向けのサービス購読者向けに公開され、ほぼ1カ月の猶予の後に一般公開となっていた。OEMに対する提供時期も、それほど大きな違いはなく、各社は最新OS搭載パソコンを完成させるために、かなり厳しいスケジュールをこなしてきたはずだ。

エンドユーザーもメーカーも同時にWindows 10を受け取る?

 Windows 10は、おそらくジェネラル・アベイラビリティと呼ばれる一般公開の時期と、OEMにわたる時期がほぼ同じになってしまうだろう。さらに、一般コンシューマーが自分のパソコンのWindowsをアップデートするタイミングとOEMが過去に発売したパソコンでの動作確認をするタイミングが同じになってしまう。今回は、Windows 7以降に対して無償のアップグレードが提供されるため、パソコンメーカーとしては、自社の顧客が愛用しているパソコンが、Windows 10に対応しているかどうかの正しい情報を伝える必要があるし、ドライバのアップデートなどの提供も必要だ。デバイスについてはさらにOEMベンダーが介在する可能性が高い。

 コンシューマーからデバイスベンダー、ソフトウエアベンダーまで、こうしたあらゆる立場の関係者が完成したOSを同時に受け取るということが、どのような影響をもたらすのかは実に興味深いが、あまりにも乱暴だという論調も聞こえてくる。

 だが、これからのWindowsはそういうものだと思っていた方がいい。まさに、Windows FirstならぬWindows fastだ。

 ほぼ1年にわたってご愛読いただいたこの連載だが、Windows 10のリリースを前に終了することとなった。感謝と共に、システム管理者各位の健闘を祈りたい。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
 1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei