2015年5月4日~8日に開催された「Ignite 2015」でWindows Update for Businessについて説明する米マイクロソフト オペレーティングシステム担当 エグゼクティブ バイスプレジデントのテリー・マイヤーソン氏
2015年5月4日~8日に開催された「Ignite 2015」でWindows Update for Businessについて説明する米マイクロソフト オペレーティングシステム担当 エグゼクティブ バイスプレジデントのテリー・マイヤーソン氏
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 マイクロソフトがWindows Update for Businessを発表した。Windows 10のリリースとともに提供開始が予定されているサービスで、Windows 10におけるWindows Updateのタイミングを調整できるようになるものだという。

 エンタープライズなどでは、OSのアップデートをさまざまな環境においてコントロールできている。今後も、こうした仕組みは提供されるだろう。そうでなければ、ミッションクリティカルな業務にWindowsは使えないと判断するシステム管理者は少なくないはずだ。

 だが、こうした管理下にないパソコンであっても、アップデートによる予期せぬ機能拡張などで特定のアプリで不具合が発生したり、あるいは、マイクロソフト自身がアップデートそのものに不具合を入れてしまったりする可能性がある。

更新のペースはユーザー側で設定できる

 Windows Update for Businessは、WindowsにRingと呼ばれる更新ペースを設定することで、各種のアップデートを受け取って適用するタイミングをユーザーがコントロールできるサービスだ。今、Windows 10は、Insider Programが進行中で、製品のリリースに向けてビルドを重ねている。その新しいビルドや更新などを受け取る仕組みとして、その頻度についてファーストとスローをユーザーが自分で設定できるようになっている。

 スローを設定したユーザーには、アップデートなどのリリース後、しばらくしないとアップデートが行われなかったり、特定のアップデートそのものが提供されなかったりする。ファーストに設定しているユーザーよりも、不具合が発生する可能性を少しでも遅らせたり、不具合そのものを回避したりする手段となる。

 問題の先送り感は否めないが、そのくらいのことをしなければ、アップデートに振り回されるかもしれないという危惧もあるのだろう。今のマイクロソフトのスピード感には、そんな雰囲気も感じられる。システムを管理する立場としては、Windows 10が普及してしまう前に、いろいろな手立てを考えておいたほうがよさそうだ。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei