写真●カウントダウンしてサポート終了をアピールするマイクロソフト
写真●カウントダウンしてサポート終了をアピールするマイクロソフト
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 マイクロソフトがWindows Server 2003サポート終了に関する記者会見を開催した。7月15日にサポート終了するわけだが、いよいよ残り3カ月となったタイミングで「待ったなし」をアピールした。マイクロソフトがこの記者会見を開催したのは4月9日。その理由は、ちょうど1年前のこの日、Windows XPのサポートが終了したからだ。

 同社ではサーバー移行は3カ月でも可能だという。ただし、リソースが枯渇するなど予想外の問題が出てきたりすることを考慮し、少しでも早くが合い言葉だ。現時点ではファイルサーバーが最も多く残っているそうだ。移行もたやすいので最後まで残してしまっていると推測されるという。

 会見では、3カ月で移行を完了した片倉チッカリンの事例が紹介された。片倉チッカリンは有機肥料や育苗培養土などの製造・販売を手がけている。同社業務システム室長補佐の岸秀幸氏は、その移行の経緯を説明し、最終的に最新サーバーへの移行とシステムの仮想化でデータウエアハウスを全業務について全社員が利用できるようになったという。パフォーマンスの向上を最大のメリットとして挙げていた。さらに現在は、従来のLotus Notes環境を撤廃し、Office 365に移行、社内のコミュニケーションシステムをExchangeとSharePoint、そしてLyncにマイグレーションする作業の真っ最中とのことだ。Noteの資産については、多くのものを捨てるしかないともいう。

ノウハウは未整理

 会見後のインタビューで、その苦労を繰り返さないようにするため、後進に教えるべき工夫についてたずねてみた。だが、移行に精一杯で、とてもそこまでの余裕はなかったという。たった3人のマンパワーで全ての作業を担わなければならなかったことによる苦労は計りしれない。

 それでもOffice 365の導入決断は、今後のシステム管理負担を大きく軽減することができるだろう。Exchangeにしても、SharePoint、Lyncにしても、その全ては基本的にクラウドサービスであり、将来のバージョンアップのタイミングやその内容に関知する必要がないからだ。

 ユーザーが管理者に好き放題を言う。これはいつの時代も管理者の頭痛のタネだ。だが、クラウドサービスなら管理者はサービスのユーザーになれる。好き放題は極端にしても、それも将来の負担を軽減するための一つの方法ではないだろうか。

 Windows Server 2003サポート終了まであと90日。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei