インテルがCentrinoを発表し、ワイヤーからの開放を声高らかに宣言したのは2003年のことだった。その新しい当たり前は、本当に当たり前になって、さらなる進化を続けている。
そのインテルが今、熱心に取り組んでいるのは新しいワークスタイルの提案だ。今、大企業で働きたい若者が減少していることに同社は言及し、中小の企業を中心に、働き方の変革を積極的に実践する傾向にあるという。
もちろんインテルがこのトレンドを見逃すはずもなく、現在使われている1億7000万台ともいわれる4年前のPCのリプレースを促し、最新の製品にすることで、企業の活性化を促進しようとアピールする。
共有空間としてのオフィスを、より効率的に活用するためにフリーアドレス、ホテリングといったシステムを導入し、さらにそれを便利なものにするためにパソコンのドッキングシステムをワイヤレス化するといったテクノロジーが、これから一般的なものになっていく。
ワイヤレス化の先にどういったシステムを用意するかが問題だ
Windowsは、10年以上前からローミングに取り組んできた。どんなパソコンを使っても、ドメインにログオンすれば、そこにいつもの環境が現れるというのは誰もが知る事実だ。設定次第でデスクトップも同じになる。近年では、この便利さを一般コンシューマーにもということで、Windows 8以降は、マイクロソフトアカウントを使って、さまざまな環境を同期する。つまり、クラウドを使ったローミング的な環境が誰でも得られるようになっている。新しいパソコンを買ってきて、自分のマイクロソフトアカウントでサインインすれば、何から何まで古いパソコンと同じになるわけだ。現在のGoogle Chromeも同様の使い勝手をもたらすが、Windowsはそのずっと前から取り組んでいる。
だが、インテルは保守的だ。最新技術を提案するものの、1台のパソコンを何通りにも使わせようとする。2-in-1プラットフォームはその典型ともいえるモデルだ。個人的にはドッキングなどといったまどろっこしいことをするよりも、デスクトップとモバイルノートを同期させればそれで済む話じゃないかとも思う。ローミングがセキュリティ的にクラウドを介するのがためらわれるなら、ジオフェンシングなどを使ってオンサイトでのみやればいい。
インテルとマイクロソフトを比べたとき、こうした面に姿勢の違いを感じる。そろそろ「さらに新しい当たり前」の提案を期待したいところだ。