写真●Windows Server 2003の終了カウントダウンサイト
写真●Windows Server 2003の終了カウントダウンサイト
サーバーOSとして普及したWindows Server 2003だがサポート終了に伴う移行には大きな労力がかかっている
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 「枯れた」という言葉を耳にするとき、一体どんなことを想像するだろうか。一般的にはネガティブなイメージだが、ITの業界の中では好意的に受け入れられている。例えば、Windows XPやWindows Server 2003は枯れたOSとして多くの現場で使われ続け、開発元であるマイクロソフトは、その撲滅に、極めて多くの労力を割かなければならなかったのはご存じの通りだ。Server 2003については、あとわずかのサポート期間を残すのみとなっている。

 その一方で、先週は、Windows 10がこの夏にリリースされることが発表された。現行で公開されているTechnical Previewが、どのようなビルド遷移をして製品版になるのかは定かではないが、恐らくは、これまでのWindowsとは異なる展開になるだろう。

Windows 10に枯れる日は来ない

 今までは、開発が完了し、RTMしたところで、まず、TechnetやMSDNといったマイクロソフトのWindows関連サイトのライブラリに登録されていた。それをシステム管理者や開発者が十分吟味できる期間が設けられ、その後、各社の製品にプリインストールされたものが世に出たり、さらに企業などのボリュームライセンスでの供給、そして、その後に一般コンシューマーがパッケージとして入手できるというプロセスがあった。これらには、おおよそ数カ月の期間というか、いわばモラトリアムがあった。

 Windows 10は開発が完了したところで、きっと一斉に一般配布されることになるのではないかと予想している。しかもその対象はWindows 7以降の全Windowsだ。アップデートに際する費用はかからない。これによって、マイクロソフトはOSの断片化を一気に解消するつもりでいるのかもしれない。そして、以降、Windows 10は枯れた状態になることなく、日々、進化を続けるプラットフォームになる。つまるところは「転がる石には苔(こけ)が生えぬ」状態がずっと続くことになりそうだ。これをネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるか。もし、組織のITを任されている立場にいるのであれば、ここをどう考えるかが組織そのものの力を左右することになるだろう。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei