レノボ・ジャパンのYOGA Tablet 2
レノボ・ジャパンのYOGA Tablet 2
Windows 8.1 with Bing搭載のSIMロックフリー端末
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 企業におけるノートパソコンの利用については、まだまだ社外への持ち出しにさまざまな制限があり、せっかくのハードウエアモビリティが十分に生かされていない状態にある。どうせ持ち出さないのであれば、多少重くて、バッテリー稼働時間が短くても、大きなスクリーンを備え、高い処理性能を持つパソコンの方が日常的には使いやすいしコストも低い。だが、パソコンを持ち歩くのは危ないというムードも、少しずつ解消されつつもある。世の中が安全になったわけではなく、守る手段が多様化したからだ。

 持ち出したノートパソコンが盗難にあったり紛失してしまった場合の情報漏えいが懸念されるわけだが、これまでは、懸念されるから情報を持ち出さないようにするという考え方が主流だった。だが、今後は、盗難や紛失時にも情報が漏えいしないようにする対策が必須となる。方法としてはいろいろある。多重認証、そしてデータの暗号化、ジオフェンス、あるいは情報そのものをハードウエアに格納しないことなどだ。

 こうした状況下で、これまでの管理ノウハウを生かしつつ、エンドユーザーにモビリティを提供するにはWindowsのアドバンテージは絶大だ。

MVNOで変わるモバイル環境

 いずれにしても、持ち出されるハードウエアが、常に、ネットワークに接続されていて、それがどこにあったとしても、管理者が自在にコントロールできることは、これまで以上に重要な要素となるだろう。今はまだ、SIMを装着して、LTEなどによるネットワークアクセスができるノートパソコンは少ないが、電気通信事業法30周年を期に、総務省がいろいろな施策を進めている中で状況も変わりつつある。

 例えば、話題の格安スマホなどでおなじみのMVNOが一気に増えているのもこうした流れによるものだ。1000円以下のコストで数Gバイトの通信ができるのであれば、ノートパソコンが単体で通信できるようになっていることが望まれるようになるだろう。また、SIMロックフリー化の促進によって、通信事業者を問わないハードウエアが豊富に登場する可能性も出てきた。逆にSIMロックを望む企業もあるだろう。

 システム管理者は、エンドユーザーが、今後数年間にわたって使うハードウエアを選ぶ立場にあるわけだが、次期ハードウエアを選ぶ際には、こうした状況の変化にきちんと対応できるようにしておかなければならない。そこでは「これまでとは違う」という認識を積極的に持つことが必要だ。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei