Windows 10の概要を解説する米マイクロソフトのサイト「Windows 10: The Next Chapter」
Windows 10の概要を解説する米マイクロソフトのサイト「Windows 10: The Next Chapter」
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 1月21日に米マイクロソフトのキャンパスで開催されたWindows 10に関するブリーフィングでは、多くのことが明らかになった。なかでも注目しておかなければならないのは、Windows 10へのアップグレードがWindows 7以降に対して無償で提供されるということだ。Windows 7の初版リリースは2009年秋だったので、すでに5年以上が経過し、すでに延長サポートのフェイズに入っている。延長フェイズでは新機能の追加などは行われないはずだが、まるでサービスパックであるかのように、5年前のPCにも、最新OSが提供されるということになる。

 ただし、無償アップグレードは期限付きで、製品版のリリースから1年間とされている。結局のところ、Windows 8.1 Update以前のOSをプリインストールして提供してきたOEM各社がユーザーをサポートしなければならないため、その合意を取り付ける必要があるからなのだろう。これまでも、PCにプリインストールされたWindowsについては基本的にPCベンダーがサポートしてきた。

どうやってフラグメンテーションを解消するのか?

 この無償アップグレードについて、それをどこが提供するかで市場のフラグメンテーションは大きく違ってくる。たとえばアップルはハードウエアメーカーでもあり、アップル自身が最新バージョンの配布をコントロールしている。それに対してAndroid OSは、端末ベンダー主導だが、実際には、端末を販売する通信事業者のコントロール下にあるといってもいい。

 マイクロソフトは、OEM各社との長い間のつきあいの中でつちかった信頼関係の中で、OSベンダーとして世の中のPCのフラグメンテーションを抑制することにチャレンジしようとしているわけだ。アップルとも違う、Googleとも違う、Microsoftならではのやり方だ。

 もちろんエンタープライズは別だ。ミッションクリティカルな業務をWindowsにゆだねている企業は、これまで通りの方法でシステムを管理できる。

 個人的にはメジャーバージョンアップなどで、一気に変えるから大きな問題が起こりやすいのであって、少しずつ変わる分には対処もたやすいのではないかとも思う。システム管理者にとって、今、動いている環境を死守することは大事だが、その先のことも考えなければならない。会社の未来が大事なら、まるで生き物のように成長するWindows 10 PCは、必ず手元において、その成長を観察し続けた方がよさそうだ。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei