韓国では10月から、法律でスマートフォンの購入補助金を取り締まる端末流通法が施行され、9月に比べて同じ端末が2万円近く高くなったことからスマートフォンが売れ行きが大幅に減った。キャリア直営の代理店は問題ないが、代理店の下にある個人が経営する販売店は、スマートフォンが全く売れず、家賃すら払えない状況だとして閉店するところも増えた。韓国メディアによると、スマートフォンの販売台数は、9月を100だとすると10月は30しかないという。

 このような状況のため、どうせ高く買うなら、もともと補助金が少なかったiPhone 6/Plusを買おうという意見も増えている。今まで韓国のスマートフォンシェアはサムスン電子が不動の1位で、LGエレクトロニクスとパンテックとも大きな差が開いていた。しかし今世界中でiPhone 6/Plusが話題をさらい、アップルのディスプレイ注文件数から推算して年末までiPhone 6は7400万台、iPhone 6Plusは4200万台、合わせて1億1600万台売れるという予測もある。サムスン電子はiPhone 6/Plusにどう対抗するのか。

 10月13日の韓国メディアの報道によると、サムスン電子はFacebookコラボスマートフォンを発売するという。これはサムスン電子とFacebookが提携し、Facebookが運営するSNSを使いやすくするスマートフォンである。

 10月14日にはサムスン電子のイ・ジェヨン副会長に会うため、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)が韓国を訪問した。2人の協議はこれで3度目になる。ハードウエアの技術を持つサムスン電子と、モバイルSNSに力を入れているFacebookが提携することで、アップルやグーグルに負けない新しいモバイルサービスが生まれる可能性も高い。

 また、Facebookの呼びかけでサムスン電子もInternet.orgのキャンペーンに参加している。これは全世界71億人が全てインターネットを使えるようにしようというキャンペーンで、みんながインターネットで一つになる世の中を作ることを目標としている。パソコンではなく高性能低価格のスマートフォンとモバイルインターネットを使うことで、新興国の人もインターネットにアクセスし、知識経済社会に参加できるという考えだ。サムスン電子は市場をリードするプレミアムスマートフォンだけでなく、新興国向けのスマートフォンにも力を入れていくようだ。

 これだけではない。9月24日からはサムスン電子のスマートフォンユーザーだけが無料で利用できるラジオストリーミングサービス「ミルクミュージック」を始めた。ユーザーを囲い込むため、アップルが力をいれるiTunesに対抗している。