2016年11月12日、ソウル市中心部にあたる光化門周辺で行われた朴槿恵大統領の退陣を求める第3回目の抗議集会には、100万人を超える人が集まった。警察は26万人と推算したが、韓国メディアが「ソウル市が提供する地下鉄・バスの乗り降り乗客数(交通カード利用分)」をオープンデータから推算したところ、集会が行われた時間帯に少なくとも100万人以上が光化門周辺にいたことが分かった。

 光化門はオフィス・官庁街で、明洞や景福宮、清渓川など観光名所から歩いて行ける距離にある。ソウル市の中心部ではあるが、人通りが多くはない地域だ。12日は全国各地の農民会や労働組合などの団体も、集会に参加すると予告していたので大混雑が予想されていた。

 韓国のキャリア(携帯電話事業者)3社は、12日に光化門周辺にある基地局の収容容量を通常の2~3倍に増やし、移動基地局もキャリアごとに2~5台ずつ配置した。基地局は日々の流動人口を分析して設置する位置と容量を決める。そのため、いつもより人が集まると、一つの基地局に信号が集まり過ぎてなかなか電話がつながらない現象が発生する。基地局がパンクしないように補い、つながりにくくなる現象を防ぐため、キャリアはイベントがある日は移動基地局を設置してトラフィックをカバーするのだ。

 移動基地局は、年末年始のカウントダウンが行われるイベント会場、夏の海水浴場、お正月・お盆連休のサービスエリアなどによく登場する。キャリア3社によると、12日は2002ワールドカップ街角応援の時よりも移動基地局の台数を増やしたそうで、ここ20年間で最大規模のトラフィック対策を実施したという。

 移動基地局は大型トラックに機材を積んだものなので、かなり場所をとる。基地局は電源と、有線設備が必要だからだ。キャリア3社は2015年より、災害時のことも考えてより小型の移動基地局開発に力を入れるようになった。