10月6日、韓国で最も加入者の多い無料メッセンジャーアプリ「カカオトーク」が、韓国検察の監聴令状に協力すると発表した。カカオトークは今まで、どんな理由であっても監聴には応じないという姿勢を示していた。

 監聴とは、捜査のために必要な情報を得るため、利用者の通信内容を見るという意味である。韓国の通信秘密保護法は、犯罪を計画または実行している、実行していると疑うに十分な理由があり、他の方法ではその犯罪の実行を阻止できず、犯人の逮捕または証拠の収集が難しい場合に限り、通信秘密保護法を適用しないとしている。

 さっそく、ユーザーの間では不満が漏れている。記事のコメント欄には、「捜査のためなら、加入者の通信内容を本人に知らせずこっそり検察に提供するのも仕方ない」という意見もあるが、「カカオトークをやめて他のサービスに乗り換える」という書き込みの方が圧倒的に多い。

 韓国では、2014年10月にも複数の韓国メディアが、韓国企業が提供するメッセンジャーアプリやSNSは韓国検察の監聴に応じていると報道。韓国のスマートフォンユーザーが「監視されたくない」として、欧米のSNSサービスへ流れ始めたことがある。

写真●カカオのホームページ(韓国版)
写真●カカオのホームページ(韓国版)
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 当時韓国の検察は、インターネット上のデマを厳しく取り締まっていた。その過程で、新聞やネットでは検察がメッセンジャーアプリやSNS上の個人的なやりとりも捜査の証拠として手当たり次第集めているという噂が広がった。その影響で、当時世界でもっともセキュリティレベルの高いメッセンジャーアプリと宣伝していた「Telegram」は韓国ユーザーが急増し、数日間で300万人を突破したほどだった。