韓国のハンギョレ新聞は2017年7月19日、最大手ポータルサイトのNAVERとDAUMが、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長に不利な内容の記事がポータルニュースのメイン画面に掲示されないようにしていたと報道した。サムスン電子とNAVER、DAUMは「そのような事実はない」と反論。それでもオンラインコミュニティでは「やっぱり」「そうだと思った」などと批判的な書き込みが多かった。

 ハンギョレ新聞は「ポータルニュースの公正性にかかわる問題」として、翌日の7月20日にも続報を掲載、韓国で大騒ぎになっている。

 ハンギョレ新聞は、イ副会長とサムスングループ役員に対する検察の捜査資料を入手したとして、2015年5月15日にサムスングループの役員らがやり取りしたとされる「今はNAVERとDAUMのメイン画面から記事が見えなくなった。ポータル側に(掲載しないよう)要請した」「朝刊の記事がポータルに露出されてないのでコメントも10件程度」といったショートメッセージの内容を公開。ハンギョレ新聞はこの捜査資料を元にサムスン電子をはじめ、サムスングループ全体が組織的にNAVERとDAUMに影響力を行使したと報道した。2015年5月はサムスングループの経営権を巡り、イ副会長に批判的な記事が頻繁に報道されていた時期である。

NAVERのニュースサイト
NAVERのニュースサイト
(出所:NAVER)
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 これに対してNAVERとDAUM側は2017年7月19日、ハンギョレ新聞の報道に反論した。NAVERは自社の公式ブログで「イ・ジェヨン副会長に関する記事を5月15日、メイン画面に7時間32分間掲載した。5月16日は『朝刊の見出しを見る』をクリックすると見られた。NAVERはメイン画面のニュース配列履歴を1分単位で公開しているので事実確認できる。今回の報道はNAVERが経営の核心価値として守り続けている、プラットフォームの透明性を棄損しただけでなく、該当業務を担当する職員にも大きな傷を残した。NAVERはプラットフォームに対する信頼と職員名誉回復のため法的対応を含め全ての処置を考慮している」と説明した。

 DAUMは「2015年5月15日はイ・ジェヨン副会長に関する記事をメイン画面に4時間38分掲載した。ニュースをメイン画面に掲載するかどうか、何時間掲載するか、といったことに関してサムスングループの影響は受けていない。迅速、正確、中立という記事配列の原則を守っている。サムスンはもちろん、特定企業や機関、団体などが記事の配置に影響力を行使することはできない。間違った報道を正すため、法的対応を含め全ての処置を積極的に検討する」と説明した。