5月24日から27日まで、ソウル市COEX展示場で韓国最大規模のICT展示会「World It Show 2017」が開催された。今年の展示テーマは「ICT that transforms everything」、全てを変えるICTである。

 インダストリー4.0を支える5G、AI、IoT、クラウドコンピューティング、ビッグデータ分析、VR、AR、ロボットといった技術を一般の人々の生活をどう変えるのかを体験できるコーナーが増えた。来場者は12万人を突破、展示場では高校生の姿もあちこちで見られた。ビジネスパーソンには同業者とのネットワーキングのチャンスを、学生や一般の人には最先端ICTを体験できるチャンスを提供したイベントとなった。

 キャリアのSKテレコムは、自社のナビゲーションアプリと連動する車両通信技術(V2X)を展示した。信号が青に変わるまで何秒残っているかを表示したり、前の車が急ブレーキをかけるとアラームが鳴ったりするなど、車と信号、車と車、車と道路、車と家がつながり情報を送り合うことで、より安全な運転ができるようなサポート機能ばかりである。

 家の中で使う音声認識AIアシスタント「NUGU」も登場した。IoTで家の中の家電を制御したり、音楽を選んで再生したり、質問するとネットで検索して答えてくれたり、ユーザーの代わりにインターネットショッピングで買い物したりしてくれる。

 キャリアのKTは2018ピョンチャン冬季オリンピックと5Gを中心に展示した。オリンピックでは5G経由でスキージャンプとボブスレー選手のヘルメットにつけたカメラから映像を中継することも計画していることから、VRで各種目を体験するコーナーが設けられた。KTは2018年オリンピック期間中に世界初の5Gテストサービスを提供し、2019年に世界初の商用サービスの提供を目指している。

 興味深かったのは、KTのLTEネットワークを使うと自動的にバッテリーの使用時間を最大45%まで延ばすC-DRX(Connected mode Discontinuous Reception)だった。データ通信につながりっぱなしだと絶えずスマートフォンと基地局が通信してバッテリーを消耗する。だが、C-DRXならつながりっぱなしでもデータの送受信周期を考慮してスマートフォンの通信機能を繰り返し低電力モードに切り替えてバッテリーの消耗を減らせる。

 車がアイドリングストップして燃費をよくするように、データ通信を続けながらもバッテリーの利用時間を延ばせる技術だ。GalaxyS8で実験したところ、Youtubeの動画を連続再生した際に、普通のLTEだと10時間36分利用できたが、同じ端末でC-DRXを適用したLTE経由で視聴したところ、14時間24分視聴できた。既に4月から始まったサービスなので、KTの加入者であれば別途端末に何かインストールする必要なくC-DRXを利用できるそうだ。

 スマートフォンで動画を見る人が多い韓国では、モバイルバッテリーを持ち歩く人も多い。Cisco Visual Networking Index(全世界のモバイル データトラフィック予測)によると、韓国のモバイルデータトラフィックは2016年の2.8EB(エクサバイト)から2021年は13.7EBに増加すると見込まれている。利用者一人当たり月間モバイルトラフィックは2015年の5GBから2021年には23GBになる見込みだ。モバイルで動画を視聴すると月23GBなんてあっという間に使ってしまう。これだけモバイルデータトラフィックが多ければバッテリーの消耗も早い。通信ネットワークを改善してバッテリーをより長持ちさせてくれるのはありがたい。