この春韓国で、社会現象にまでなったドラマがある。タイトルは「太陽の末裔」、戦争と気象異変で疾病が絶えないアジアの開発途上国を支援するために派遣された、韓国軍と医師のメロドラマである。2月から4月まで放映され、最終話は41%を超える視聴率を記録した。

 韓国ドラマの特徴は、背景や主人公の職業に関係なく、登場人物全員が誰かに恋をして、三角関係になり、交通事故にあい、記憶喪失になり、最終的にハッピーエンドで終わることだ。このパターンを守らないと、視聴率を獲得できない。

 このパターンが大好きなのは、中国人も同じようだ。「太陽の末裔」は韓国の地上波放送のドラマだったが、中国のオンライン動画サイト「iQIYI.COM」で、韓国とほぼ同時に有料配信。全16話のうち8話まで放送された時点で、累積再生数8億2000万件を突破。中国で最も再生数が多い韓国ドラマとなった。

 中国ではこのドラマに登場する参鶏湯、韓国コスメなどが大ヒットしているそうだ。韓国では、このドラマ中のある行為を真似るアプリが大ヒットした。

 それは、主人公の軍人が劇中で連絡に使うトランシーバー(無線機)。ヒットしたのは、トランシーバーにそっくりなUIを提供するアプリである。

 ドラマの中で主人公カップルは、戦争が頻繁に起きる開発途上国にいるという設定で、スマートフォンではなく無線機を使って連絡を取り合う。これがかっこよく見えたのか、韓国の若いカップルの間で音声通話でも無料通話アプリでもなく、トランシーバーアプリを使うのが流行っているのだ。

SKテレコムが開発したトランシーバーアプリ「OKITOKI」(SKテレコム提供)
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SKテレコムが開発したトランシーバーアプリ「OKITOKI」(SKテレコム提供)
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SKテレコムが開発したトランシーバーアプリ「OKITOKI」(SKテレコム提供)
ドラマをきっかけにトランシーバーアプリが大ヒットしている。本物のトランシーバーそっくりなUIで、使い方はトランシーバーより便利になった。データ通信を利用するので、遠くにいる人も同じチャンネルに参加すればグループで音声通話を楽しめる。

 トランシーバーアプリの画面は本物のトランシーバーにそっくりだが、使い方はトランシーバーより便利である。周波数を決めてチャンネルを作り、友達を招待する。チャンネルは誰でも参加できる公開用と、暗証番号を設定して招待した人だけが参加できる非公開用と分けて作れる。

 アプリを立ち上げていれば、チャンネルから流れる音声はすべて聞こえる。話すときはアプリにあるTALKボタンをタッチし続け、話が終わったらタッチするのをやめる。一つのチャンネルで同時に話せる人の人数はアプリごとに違うが、最大100人~500人参加できる。

 アプリなので本物のトランシーバーとは違いメンバー同士の距離は関係ない。トランシーバーは半径何メートル以内にいないと会話できないといった制約があるが、アプリなら遠くにいる人でも同じチャンネルに集まれば会話できる。