韓国統計庁が2017年5月10日に公開した「2017年3月オンラインショッピング動向」によると、3月の取引額は6兆3257億ウォン(約6326億円)で過去最高額を記録した。オンラインショッピングの中でもスマートフォンを利用したモバイルショッピングの取引額が全体の59%を占めるまで成長。モバイルショッピングで売れている商品カテゴリーは、幼児・児童用品、靴、食品・飲料、バッグの順だった。

 統計庁は、「モバイルショッピングアプリで販売する商品の種類が増え、配送の早さと割引率の競争も激化していることから、合理的な消費を望む人が集まってきたようだ」と分析した。

 韓国のオンラインショッピングサイトは、独自のセキュリティプログラムが多いのが特徴だ。サイバー犯罪を防止するためではあるが、商品を選ぶまではスムーズなのに、そこから決済画面にたどり着くまで、インストールしないといけないセキュリティプログラムが6~7本はあるのでうんざりする。ところがモバイルショッピングアプリの場合、本人名義の携帯電話番号を入力するだけで会員認証が完了(通信キャリアのDBから本人確認)し、決済もクレジットカード会社が提供する決済用アプリを一つインストールするだけでよい。PC向けのWebサイトよりも単純で使いやすく、手軽に早く注文できるのがメリットだ。

 複数の韓国メディアはモバイルショッピングが人気の理由を「PM2.5の影響で外出を控えているため」「ロケット配送、当日配送といった配送競争のおかげで、お店で買うよりも楽だから」と分析している。

 アプリ分析会社のAppAnnieが2016年に韓国、米国、英国、ドイツ、フランス、そして日本のアプリ利用動向を調べたところ、モバイルショッピングアプリを最も利用している国は韓国だった。月間利用頻度が他の国よりも30ポイントほど多い。

 このような傾向から、韓国の小売流通業界はモバイルショッピングに力を入れている。例えば財閥・新世界グループの大型スーパー「EMART」は、モバイルショッピングアプリを2種類開発。「手軽に早く買い物を済ませたい人のためのアプリ」と、「実際に店舗を見て回っているかのように商品を見て回る仮想店舗アプリ」である。

新世界グループの大手スーパー「EMART」の仮想スーパー
新世界グループの大手スーパー「EMART」の仮想スーパー
(出所:EMART)
[画像のクリックで拡大表示]