韓国の通信政策を担当する未来創造科学部の発表によると、2017年3月末時点で韓国のMVNO加入件数は701.7万件で全移動通信加入件数の11.4%を占めている。2011年7月から販売開始した韓国のMVNOは、2015年12月末時点で加入件数592万件(移動通信に占めるシェア10.2%)を突破し、そろそろ頭打ちではないかと言われていたが、料金プランの工夫や格安スマホの登場により、まだ増加し続けていた。

 事業者別シェアは、大手ケーブルテレビ会社CJハロービジョンのMVNOであるCJハローモバイルが86万5354件と最も多く、その次がキャリアSKテレコムの子会社SKテリンクで72万6619件だった。全国の郵便局と郵便局のホームページを販売窓口にしている中小企業も、インスコビ社63万1204件、イージーモバイル社61万3920件、ユニコムズ社57万4385件と、少しずつ加入件数を伸ばしている。この他にもキャリアKTとLGU+の子会社もMVNOサービスを始めた。

 韓国のMVNOは当初、シニアをターゲットにしたプリペイド式激安音声通話を目玉にしていたが、最近は後払い式データ通信の安さを売りにしている。キャリア3社の半分程度の料金でデータ通信が使える。未来創造科学部は、MVNOの加入件数が伸び続けているのは、「データ通信の料金プランが多様化したから」と分析した。

 CJハローモバイルは2017年1月より、韓国で初めて使い切れなかったデータ通信分、1Mバイト当たり10ウォン(約1円)にして料金を割引するペイバッグ料金プランを始めた。

 例えば、月1Gバイト使う料金プランに加入したのに500Mバイトしか使わなかった場合、残った500Mバイト分5000ウォン(約500円)割引する。音声通話とSMS使い放題(韓国では音声通話が1回当たり5分を超えても無料)+データ通信1Gバイトで月26900ウォン(約2700円)のペイバッグ専用料金プランに加入しないといけないが、いつもはWi-fiを使い、データ通信は移動中に無料メッセージアプリを使うぐらいでいいという人にはとても便利だ。データ通信を全く使用しなかった場合は1300円ほど割引されるので、1400円程度で音声通話とSMSが使い放題になる。

 今までは、残ったデータ通信を家族に譲る、友達にプレゼントする、翌月まで1ヵ月だけ繰り越し可能、というプランはあったが、割引という形で返金するプランはなかった。CJハローモバイルによると、加入者の7割がデータ通信を使い切っていないことから、顧客満足度を上げるため残った分割引するプランを始めたという。

 たくさんデータ通信を使う人は10Gバイトプランもある。月3万3000ウォン(約3300円)で音声通話とSMSは使い放題、データ通信は10Gバイト分使え、さらに10Gバイトを使い切ってしまった場合、毎日2Gバイト追加で提供する。追加でもらった2Gバイトも使い切ってしまった場合は、3Mbpsの低速で無制限データ通信が使える。キャリア3社の場合、月10Gバイトのデータ通信プランが月6万5890ウォン(約6600円)なので、ちょうど半額で利用できる。その代わり、半額で使えるのは24カ月だけ、25カ月目からは月1000円ほど高くなる。

音声・SMS使い放題、10Gバイトのデータ通信で月額約3300円
音声・SMS使い放題、10Gバイトのデータ通信で月額約3300円
(出所:CJハローモバイル)
[画像のクリックで拡大表示]