2017年4月1日、韓国ソウル市で行われた「SOFTWARE EDU FEST 2017」のイベントに、日本の81歳の女性がスピーカーとして登壇した。iPhone向けアプリ「hinadan」(https://itunes.apple.com/jp/app/hinadan/id1199778491)の制作者である若宮正子さんである。

誰も作らないので、プログラミング言語を学び自分で作った

 若宮さんは「I want to be creative and active」のタイトルで、シニアが楽しめる雛壇飾りアプリゲームを開発した経緯を説明した。そして「81歳がアプリを作ったことがこれほど注目されるのは、やはりシニアはITに弱いと思われているから。自分はシニアにインターネットの世界を教えて、若い世代との情報格差を縮める架け橋になりたいと思っている」と話した。

 彼女はアプリ開発のために、プログラミング言語「Swift」を独学でマスターした。知人の開発者にSkypeを通じてアドバイスをもらったり、英語でしかできないアップルのアプリ登録申請書類を「Google翻訳」サービスで乗り越えたり、とても苦労したという。hinadanを開発したのは、「手の動きが若者ほど早くないシニアも楽しめるゲームアプリがあるといいな」と思ったが、誰も作ってくれなかったので自分で作ったとのことだった。

 SOFTWARE EDU FEST 2017は、LINEの親会社であるポータルサイトNAVERが2011年に設立したコネクト財団が毎年開催している。コネクト財団は、小学生からコンピュテーショナル・シンキングが身につくようプログラミング教育を実施しようと後押しする財団である。

 韓国でも、若宮さんのことは話題になっている。同イベントの様子を伝えた韓国メディアの記事のコメント欄には、「年齢は数字にすぎない。本人の意志でなんでもできることを、若宮さんを見て知りました。すごい!」、「かっこいいしすごい。欲しいアプリを自分で作ろうとか、問題を自分で解決してみようとか思わなかった。チャレンジ精神を学びたい」、「韓国もシニア層の多くがIT文化についていけない、パソコンは使いにくいと思っているが、若宮さんのようにチャレンジしてみてほしい」など、彼女の行動力を絶賛する書き込みが多く見られた。