韓国では、ビジネスでもKAKAO TALK、LINEといった無料メッセージアプリを積極的に使う。IDを教えていないのに、取引先の人が突然KAKAO TALKで話しかけてきたことが何度もあった。相手からは「電話代もかからないし、メールより早く用事が伝わるし、KAKAO TALKを使った方が効率的でしょう?」と言われた。仕事相手とはメールか電話、家族や友達とはメッセージアプリ、という具合に使い分けていた筆者は、もう時代から遅れつつあるのかもしれない。

 韓国では、毎日起きている間ずっとスマートフォンを握り、メッセージアプリで検索し買い物し、仕事も片付ける人が増えているせいか、モバイル広告市場もぐんぐん伸びている。KAKAO TALKの親会社KAKAOとLINEの親会社NAVERは、モバイル広告の収入が順調に増え、売り上げも好調に伸びている。

 KAKAOの場合、ポータルサイトDAUMにPCからアクセスする割合は減少傾向にあるが、モバイル広告収入が2015年7~9月の間29%も増加したことで持ちこたえた。NAVERの場合、今年初めて広告の割合がPC向け6割、モバイル向け4割になった。これまでは、PC向けが8割を占めていた。NAVERの2015年7~9月広告全体の売り上げは5870億ウォン(約650億円)で、前年同期比17.9%増加した。

 キャリアのKTが運営する研究所の予測によると、韓国の広告市場はモバイルの割合が急増していて、2019年にはモバイル広告がPC向け広告を上回りそうだ。

 KTの研究所が発表したデータによると、韓国のモバイル広告は2015年末時点で約9000億ウォン(約990億円)、2019年末には3兆3000億ウォン(約3600億円)にのぼる見込みである。この調子でいけば、2019年にはオンライ広告の52%がモバイル広告、48%がPC向け広告(2019年推定3兆1000億ウォン、約3400億円)と、割合が逆転するとみられている。

 もう何年も前から「韓国は不景気」だと言われるが、モバイル広告を含めオンライン広告はそれほど影響を受けていない。スマートフォンからシニア層もゲーム、動画、漫画、音楽などを利用し始めているので、スマートフォンが全世代の生活に根付けば根付くほど、モバイル広告も拡大していく。

画像●スマートフォンの急増に伴いモバイル広告市場も拡大している
画像●スマートフォンの急増に伴いモバイル広告市場も拡大している
韓国ではスマートフォンの待ち受け画面に広告を受信するアプリも流行っている。広告を見た回数に応じてポイントをもらい、提携したお店で使える(出所:キャッシュスライド)。
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