11月30日、ソウル市内でモバイル銀行「韓国カカオ銀行」と「Kバンク銀行」の事業説明会が行われた。日本や米国では、既に店舗なしでインターネットとATMだけを利用するインターネット銀行が存在するが、韓国ではこれが初めての店舗なし銀行となる。いずれも出資企業のサービスをうまく活用し、サービス開始から3年内に黒字化することを目標にしている。

 韓国カカオ銀行は韓国投資金融持株会社、Kakao Talk、国民銀行が主な株主となり、資本金3000億ウォンで設立した。Kバンク銀行はウリ銀行、GSリテール(スーパーマーケット・コンビニ)、韓化生命保険、DANAL(モバイルペイメントソリューション)、KT(通信)が主な株主となり資本金2500億ウォンで設立した。両方とも金融委員会より予備認可をもらった段階で、2016年上半期中に正式認可をもらい、認可日から6カ月以内に営業を開始する。本格的なサービス開始は、2016年秋になりそうだ。

 無店舗モバイル銀行の特徴は、自分が登録したIDが口座番号になり、モバイルメッセンジャーアプリを経由してお金を振り込んだり、光熱費を支払ったり、貯金口座を作ったりできること。現金やクレジットカードを持っていなくても、スマートフォンさえ持っていればお店などで口座にあるお金から支払える決済サービスも提供する。振り込みやATM手数料などは、原則として無料で利用できる。

 モバイル銀行は24時間いつでも利用できる銀行なので、電話相談、ネット相談も24時間稼働する。面白いのは、人が答えるのではなく、人工知能が対応するという点である。人工知能が処理できなかった複雑な質問にだけ、人が対応する。

 さらに、ビッグデータ分析で貸出金利を決める。店舗を持たないので運営費があまりかからないことから、一般的な銀行よりは高い貯金金利を提供する計画である。貸出金利も、お金を借りたい人・預けたい人のバランスを常に分析して金利を決めるという。個人向け担保なし貸出の場合、信用金庫などは20%以上の金利を取る。だが、モバイル銀行は支店運営費用、営業費用などがかからないので、その半分の10%台。敷金など引っ越しのための少額貸出にも応じるという。