サムスン電子のコ・ドンジン社長は2017年1月23日、ソウル市で記者会見を開き、Galaxy Note 7の発火原因を調査した結果、最終的にバッテリーの欠陥だったと結論付けた。また、新機種Galaxy S8からはバッテリーの安全性検査を強化し、生産した端末の一部を検査する方式から全量検査することにしたと発表した。

写真●1月23日、GalaxyNote7の発火原因の調査結果を発表するサムスン電子コ・ドンジン社長
写真●1月23日、GalaxyNote7の発火原因の調査結果を発表するサムスン電子コ・ドンジン社長
(写真提供:サムスン電子)
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 Galaxy Note 7は2016年8月19日に発売された。その後、韓国と米国でバッテリー部分が焦げる、発熱する、発火するといった事故が発生し、9月2日にリコールが決まった。それからサムスン電子と海外の研究機関による原因調査が始まった。

組み立て時にバッテリー不良を見つけられず

 Galaxy Note 7のバッテリーは、サムスンSDI社のものとATL社のものが使われている。スマートフォンの組み立て課程で、サムスン電子側がバッテリーの不良を検知できなかったという。

 サムスン電子はバッテリー部分の発火原因を調査するため、Galaxy Note 7のデバイス20万台とバッテリー3万個をテストしたという。発表によると、結局問題はバッテリーの製造工程にあり、サムスン電子の安全検査でも不良バッテリーを確認できずそのまま使ったせいで発火した、ということだった。

 記者会見での説明によると、サムスンSDI社のバッテリーは、真ん中にある陽極と陰極を分離する分離膜が薄すぎて破損したことで発火。ATL社のバッテリーは、バッテリーのつなぎ目の問題や絶縁テープの不備、薄いセパレーターなど複数の問題が重なったとした。Galaxy Note 7を使った実験でも、実際に40回ほど発火を再現できたという。サムスン電子のハードウエアとソフトウエアには問題がなく、デバイスの輸送課程に問題があるわけでもなかった、とした。

 サムスン電子は再発防止のため、Galaxy S8以降は5段階のバッテリー安全性検査を8段階検査に変更することにした。スマートフォン本体のバッテリーを搭載する部分はより広くし、バッテリーが過熱すると自動で電源を遮断するソフトウエアも搭載する。

 製品のテストも強化する。レントゲン検査とバッテリー解体検査をバッテリーのメーカーに任せきりにせず、サムスン電子でも追加で実施する。また温度・湿度・衝撃・落下などいろいろな条件下で製品を使用し意図的に製品を劣化させて安全性をテストする「ユーザー条件加速試験」を実施することにした。

 サムスン電子は不良品に気付かなかった自分たちにも責任があるとして、バッテリーのメーカーに法的責任は問わないとした。サムスン電子という世界で最もスマートフォンをたくさん売る会社が、なぜバッテリーの欠陥に気付かなかったのかは疑問だが、Galaxy Note 7の全ての問題はバッテリーが犯人だった、ということで落ち着いた。