韓国企画財政部(国の予算を担当する省庁。部は日本の省にあたる)と韓国資産管理公社は、2016年夏からテスト事業としてドローンを使った国有地の無断占有パトロールを実施している。生産性が40倍以上になったとの報告もある。韓国企画財政部は、2017年1月末までにドローン30台を追加購入することを決めた。

 韓国の国有地は、国全体の約24%を占めている。国有地の多くは人が入る道がないほど険しい山林で、人が直接現場に出向いて無断占有を取り締まるには人件費も時間もかかった。そのため、こっそり国有地を無断占有して工場を建てたり、作物を栽培したりする人が後を絶たず、国有地が“先に使う人の勝ち”といった状態となり管理が行き届いてない地域もあった。

 2014年、400人近い調査員が直接国有地を訪問して調査した際に、国有地の無断占有率は15%前後であることが分かった。韓国資産管理公社は国有地の管理だけで毎月240人を投入していたが、手に負えない状況だった。

 ところがドローンを使ったところ、たった3台と操縦人員6人で240人分の仕事を数日でカバーできてしまった。韓国資産管理公社は2016年11月、「国有地無断占有予備調査」として、ドローン3台をレンタルして農村地域である慶尚南道(道は日本の県に相当)にある国有地83.4平方キロメートルを上空から撮影したところ、容易に無断占有している様子がわかり、無断占有は調査面積の10%に及ぶことも確認できた。その後調査員を無断占有している現場に派遣し、無断使用した地域住民に弁償金を請求できた。

ドローン30台で全国の国有地を調査していく

 ドローンを使った調査では、地上120~150メートルから2000万画素の画像を撮影し、その画像に地籍図を被せて国有地がどのような状態になっているかを確認する。

 ドローンの活躍が予想以上だったことから、企画財政部は2017年1月、国有資産の効率的な管理のため、9億ウォン(約9000万円)でドローン30台を購入する入札を実施した。撮影技術の高さから、海外メーカーが落札する可能性が高いとみられている。

 企画財政部と韓国資産管理公社は、ドローン30台を使って、3年間で全国の国有地全ての無断占有実態を調査する計画である。ドローンで撮影した国有地の画像データを韓国資産管理公社が分析し、分析結果を全国の国有財産管理機関に提供して取り締まってもらう。