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情報処理学会デジタルプラクティス

生活家電(ライフスタイル事業)のUXデザイン

─クリーナ開発を適用事例として─

池本 浩幸=(株)東芝,井戸 健二(株)=東芝 2016/12/09 ITpro
出典:情報処理学会デジタルプラクティス Vol.6 No.4 Oct.2015
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

クリーナ開発を事例とした生活家電のUXデザインの実践を紹介する.この実践では「うれしさの循環」をコンセプトとし,①実使用環境での共感的なユーザリサーチ,②ラピッドプロトタイピングによるアイディアの可視化と洗練の反復,③生理学指標等を用いた評価検証,④ユーザの声に基づくUXの進化に取り組んだ.生活家電のUXデザインは,製品開発の目標を機能・性能の向上だけでなくユーザの生活価値の向上にアップグレードさせる効果があるが,迅速・効率的に行えるよう方法を高度化することが課題である.UXデザインを成功させるにはユーザの価値を最大にするための努力を惜しまないという姿勢が重要であり,経験やノウハウを組織で共有し企業文化を変えていく必要がある.一方,IoTやディジタルファブリケーションの発展は,生活家電のビジネスモデルを一変させてしまう可能性があり,UXデザインの方法も検討を要する.

1.はじめに

 物のない時代にはそれを入手できることがユーザの求める価値であり,物の入手に困らなくなると次は機能や性能が優れていることがユーザの価値となる.そして,物があふれ十分に行き渡ってしまった現代では,物の所有や利用を通して実現したいことを達成できることがユーザにとっての価値となっている.このようにユーザが求める価値は時代とともに変化しており,ユーザが潜在的に持っている暗黙的なニーズを探り出し,それが実現できるような製品やサービスを提供しなければユーザを満足させることができなくなった.

 成熟商品である生活家電はコモディティ化が進み,企業の競争が激化している.コモディティ化とは製品の差異化ができず市場に多くの企業が参入し,企業の利益が上がらなくなることをいう.その要因は技術の成熟化やグローバル競争にあるが,機能や性能に本質的な差がない多くの製品が出回ることによって企業の競争要因が主に価格と購買機会になる現象を引き起こす.技術力や生産力が向上した新興国から安価で良質な製品がグローバル市場に流入しており,価格競争が激化していることもコモディティ化を早める要因となっている.コモディティ化した市場で企業競争に勝つには,製品に機能や性能だけではないユーザにとっての新しい価値を付与して自社製品を差異化し,価格競争に陥らないようにしなければならない[1].

 ユーザエクスペリエンスデザイン(UXデザイン)は,ユーザの潜在ニーズに応える製品を提供するための方法であり注目されている.ユーザエクスペリエンス(UX)とは製品やサービスからユーザが受ける価値ある体験を指す概念であり,ISO 9241-210では「製品やシステムやサービスを利用したとき,及び/又はその利用を予測したときに生じる人々の知覚や反応のこと」と定義されている[2].製品やサービスの使用中だけでなく,使用前と使用後も含め,製品やサービスとのかかわりの中で起こるユーザの感情や意見,好み,知覚,身体的および心理的な反応,態度,達成感などを表す概念である.UXは多くの専門領域を横断した概念であるため,ほかにもいくつかの定義や考え方が存在しているが[3],それらに共通していることは製品やサービスの使いやすさだけではなく,ユーザにとってのうれしさなど主観的な側面を含んでいる点である.UXデザインとはユーザが望ましいUXを得られるように製品やサービスをデザインすることである.

 生活家電を対象としたUXデザインの意義は,ユーザが日常生活の中で製品の所有や利用を通して実現したいことは何かを深く理解し,ユーザが選択したくなるような他社にはない価値を製品に盛り込んで他社製品と差異化し,企業競争力を高めることにある.

 本稿では,生活家電における我々のUXデザインの実践事例を紹介し,UXデザインを成功させる要因を考察するとともに生活家電のUXデザインにおける課題を述べる.まず第2章でUXデザインのコンセプトと具体的な方法について我々の考え方を述べる.第3章では生活家電のUXデザインの実践事例としてクリーナの開発事例を紹介し,第4章でUXデザインの効果と成功要因を考察する.第5章で生活家電のUXデザインの課題と今後の展望を述べる.

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