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情報処理学会デジタルプラクティス

国内最大規模マーケットプレイスにおけるモバイルUXの取り組み

圓城寺 人史=楽天(株),脇阪 善則=楽天(株) 2016/12/02 ITpro
出典:情報処理学会デジタルプラクティス Vol.6 No.4 Oct.2015
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

BtoC-ECの市場規模が拡大すると同時にモバイル端末による利用が増えてきている.出店ショップが販売の主体であるマーケットプレイスの運営者は,出店ショップの幅広い取り扱い商品に対応し,ただ商品を購入する以上の背景や価値を伝えられるよう,細切れで短い利用時間と限られた画面表示領域を前提にモバイル向けのUXを最適化する必要がある.本稿ではモバイルにおける利用時間単位を4つのレベルに分け,主に楽天市場での各レベルごとのモバイルUXの取り組みについて紹介する.

1.はじめに

 日本国内におけるBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は2013年に11.2兆円と推計され,一般消費者の生活に必要な手段としてますます定着してきている[1].楽天(株)が運営する楽天市場は,国内最大規模のマーケットプレイスとして2015年の第1四半期で約1,500万人以上が購入し,2014年通期の楽天市場を含む国内EC流通総額が2兆円を超え[2],国内のBtoC-ECの一定量を占める規模になっている.

 ECというとアマゾンやヨドバシ・ドット・コムのような直販型ECが数多く存在するが,マーケットプレイスは直販型ECを複数内包した場を指し,販売主体は出店している各ショップで,マーケットプレイスを運営する楽天市場は販売に適した場を提供し,出店ショップの販売を支援するという立場になる.同様の形態をとるマーケットプレイスにはC2Cを主体にしているeBayや,物品ではなくアプリになるがAppleのApp StoreやGoogleのGoogle Playなども主体者が販売を行わずに場を提供しているという意味でマーケットプレイスになる.

 極端なたとえだが,直販型ECでのユーザ経験(UX)は魚屋で店主にオススメを聞きながら買い物するような体験で,マーケットプレイスでのUXは,商店街を歩きながら各店を覗いたり,店主と会話して時には買わずに隣の店を覗いてみたり,といった新しい発見やその道中を楽しむような体験も含まれる.実際に購入を検討し始めるとマーケットプレイスであっても,個別直販型ECから購入することになるため,マーケットプレイスでのUX検討は,買い物の道中の楽しみと店主との1対1の会話の両方を想定する必要がある.

 また,マーケットプレイスの主体者は販売の主体者ではないため,直販型では把握ができる商品種類や在庫の数を完全にコントロールすることができない.そのため,マーケットプレイス全体のUXをデザインするには,ある程度の偶発性を前提に,予期しない多様化や突発的なイベントがあるものとした上で,その場を楽しめるようにUXを設計することが求められる.デザインの対象として個別サービスを良くするというイメージよりも,コミュニティや都市といった集合体をデザインするイメージに近い.

2.タッチポイントの多様化とモバイルの重要性

 近年特に重要になっているのがスマートフォンの普及によるモバイルUXの向上である.楽天市場におけるモバイル比率は47%[2]になっており,モバイルデバイスからの利用が大きな割合を占めるようになっている.モバイルでは,従来のデスクトップに比べていくつかの特徴的な点がある.画面サイズが小さく,タップで操作することに加えて,いつでもどこでも隙間時間に閲覧することがあり,1回あたりの平均サービス利用時間がデスクトップ端末からの利用よりもモバイル端末からの利用の方が短い傾向がある.

 デバイスの利用傾向もいくつかパターンが見受けられ,デスクトップのみを使う,デスクトップとモバイル端末を併用して使う,デスクトップと複数のモバイル機器(タブレット,スマートフォン等)を利用する,モバイル端末のみを利用する,といったパターンがある.もちろんモバイル端末の中にはWebブラウザとモバイルアプリを使い分けるユーザもおり,単一,多様化を両方とも考慮しつつサービスを検討する必要がある.

 ユーザとサービスとの接触をいくつかのレベルに分解して検討をする必要がある.そこで図1にあるように便宜上あるサービスとの接触粒度を4つのレベルに分けて考える.

  • 日常レベル
  • セッションレベル
  • ページレベル
  • インタラクションレベル

 日常レベルでは通勤時間や昼休み,就寝前にスマートフォンやデスクトップを非連続に同じ目的,何か特定の商品を買うための検討で使うことを想定する.セッションレベルでは,日常レベルのある日の通勤時間にサービスを閲覧した5分から30分程度の連続したサービス利用時間とする.ページレベルは閲覧時間中に開いたあるページを読んでいる時間とし,インタラクションレベルはそのページ内でタップしたり,検索結果を絞り込んだりする数秒程度のインタラクションと想定する.このような細かい隙間時間でのサービス利用が見込めるモバイルはサービスとユーザの接点を増やす意味でも重要な媒体である.

図1●サービス内でのユーザ時間分解
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