クラウド・データ・センタ内のサーバ等機器類の起動台数と消費電力量の関係をモデル化し,サーバの利用計画から電力消費を予想して計画を調整することで節電運用に取り組んだ結果を報告する.モデル化のために,1,000台規模のサーバ室においてサーバと主な稼働機器の稼働数と総消費電力量の実績値を1時間単位で数カ月間収集を行い,このデータを基にサーバの機種別に1台あたりの平均的な消費電力量をパラメータ化した.2011年夏季の運用で,上記で得られたモデルに基づきサーバ使用計画を策定し,震災前の電力値から35%減を実現した.

1.はじめに

 2011年3月11日の大震災以降,日本国内,特に関東では厳しい電力事情が続き節電への取組みが求められた.政府が大企業に対して打ち出した節電対策では電力使用の25%削減が目標として掲げられた. NTT武蔵野研究開発センタでは政府目標より高い削減目標を挙げ節電に取り組むことになった.夏季の電力需要の高い時期に,3月10日の使用電力のピーク値から35%カットすることを目標とし,部屋などの単位ごとに消費可能な最大電力量(ピーク値の35%減)が定められた.

 情報流通プラットフォーム研究所(組織名は当時のもの)が所有するNTT武蔵野研究開発センタ内のサーバ室においても,定められた電力量を上回らない範囲で,どれだけの機器を稼働させられるか把握し,サーバの稼働数を計画的にコントロールする運用体制をとることにした.そのため,サーバ室内の機器をどれだけ使用するとどれだけ電力を消費するかのモデルが必要になった.

 本論文で,サーバ室の節電運用のための電力モデル化とモデルを利用した運用について報告する.