• Twitterはサービス開始当初から自社サービスのAPIを提供することでTwitterの一部機能やツイートを活用したサービス開発が行われ,開発者コミュニティによるエコシステムが構築されてTwitterの成長につながった.
  • ユーザ・エクスペリエンスの向上を図り,またAPI利用したツールのクオリティコントロールを実施するために,エコシステム戦略を随時見直してきている.
  • さらに,APIを通じたエコシステムの構築を超えて,ツイート数データ等を活用した指標作成も行っている.

1.はじめに

 Twitter (www.twitter.com) は2006年3月に米国において140文字のテキストを投稿するサービスとして開始された.現在,世界で2.55億人の月間アクティブユーザがおり,1日に5億ツイートの投稿がある.ユーザの77%が米国外のユーザであり,35言語が対応されている.その中でも日本語版は英語以外の言語として初めてローカライズされ, 2008年に提供が開始されている.

 Webサービスにおいて自社サービスのAPIを提供することで,外部の開発者コミュニティがそのプラットフォームを活用したサービス開発を行うことが一般的になってきている.自社のリソースだけでは開発できない新しいサービスや補完的なツールなどが生まれることで結果的にユーザの利便性が上がり,同時にそのWebサービスの利用が広がることでAPI提供のメリットも高くなる.TwitterもAPIの提供をサービス開始当初から実施し,APIを利用したサードパーティのTwitterアプリケーションの開発や,ツイートを他のWebサービスとマッシュアップした新たなサービス,また,ツイート内容のテキストを分析するツールなどが生まれてきた.Twitterはそうした開発者コミュニティを「エコシステムパートナー」と呼び,Twitterの活用範囲やその利用の拡大を共に構築してきた.しかしながら,TwitterもAPIの提供方針については,段階に応じて変更してきている.どこまでを自社サービスとして開発するか,どういった関係性をエコシステムパートナーと組むべきかの判断によって,そのAPIの提供方針は戦略的に決められる.APIの提供によるエコシステム構築に関するプラクティスをTwitterが行ってきたこれまでを振り返ってまとめる.