国内の決済市場では電子マネーなどクレジットカード以外の決済手段が多様化している.これまで長きにわたり国内のクレジットカード会社の基幹システムの開発・保守・運用を手がけてきたTISが,数年前より事業展開している国際ブランドデビット・プリペイド(DebitCube+/PrepaidCube+)のサービスを通じて,国内外における決済市場を活性化し,新たな国内産業基盤としての展開を目指している.この事業のポテンシャルや金融業界向けの基幹システムをサービス型で展開する上での課題に対するアプローチや工夫点を述べてみたい.

1.TIS(株)概要

 TIS(株)は,多彩なソリューションと国内トップクラスの総面積約10万平米のデータセンターをフル活用し,SI受託開発からアウトソーシングサービス,クラウドサービスまで全方位型のITサービスをワンストップで提供している.

 その中核を担う事業が,銀行,保険,証券,クレジットカード,ノンバンク,リースなど金融業界向けソリューションである.大手・中堅クレジット会社向けのクレジットカード基幹業務システムをはじめ,勘定系,融資・ローンなどの銀行向けシステム,インターネットバンキングシステム,保険・証券業界向けのトータルソリューション等,すべての金融業界の顧客に対応することが可能である.約40年に渡る金融業界向けシステムの実績と技術力により,業務システムの企画・開発から保守・運用までのライフサイクル全般をサポートしており,これらのノウハウを生かしこの国際ブランドデビット・プリペイド(DebitCube+/PrepaidCube+)を立ち上げてきた.

2.国際ブランドデビット・プリペイドカードとは?

2.1 すでに国内に流通しているデビット・プリペイド

 ここで,すでに国内に流通しているデビットカード・プリペイドカードについて説明する.まずデビットカードだが,2000年以降,先行して国内で導入されているJ-DEBITという決済手段がある.金融機関のキャッシュカードでそのまま決済できる決済手段で,家電量販店等でよく使われているものである.専用端末と利用時間に少し制限があるが,かなり早い段階で取り組まれた決済手段である.続いてプリペイドカードとして国内に展開されている決済手段について説明する.発行者の店舗のみで利用可能な自家型パチンコ屋のプリペイドカードなどもこれにあたるが,Suica,PASMO,nanaco,WAONなどの電子マネーを含めた加盟店・フランチャイズ先での利用も可能な第三者型がある.最近ではオンラインゲーム専用など,種類も増えている.