ICTシステムは構造化された数値や文字に加えて、非構造の静止画や動画や音声も扱うようになった。Webページの記述言語であるHTMLは最新版のHTML5系で、こうした新しい動きに対応した進化を見せている。様々なデータ特性をどのように扱うかがITアーキテクトに求められているが、今回は特に静止画や動画にまつわる「色」を掘り下げてみたい。

 「画面で見た色と違う」――。画面を印刷した時、多くの方がこう思った経験があるのではないだろうか。そもそも色は「色相(赤や青といった色合い)」「明度(明るさ)」「彩度(鮮やかさ)」の3要素から成り、これらをグループ化したものを「トーン(色調)」と呼ぶ。

 つまり、電磁波の可視光線範囲における特定の波長が際立つことで「色」という特徴が生まれる。では、画面の色と印刷した色に違いが生じるのはなぜか。もちろんディスプレーやプリンター、インクや紙などの特性に依存する場合も多いが、「色」の捉え方に差があることが理由だ。

色に二つの基準

 一般的に色は「光の三原色」である「RGB」で表現される。RGBは、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の頭文字で、この3色を足し合わせる「加法混合」で色を作る。ICTのシステムでは一般的にはRGBをそれぞれ8ビット、合計24ビットで表現する。数値が増えれば白に、減れば黒に近づく。

 テレビの色は加法混合で作る。テレビの規格として知られるNTSC(National Television System Committee)信号では、人間は色相変化に鈍感な波長帯があるという特性を生かした情報節約手段としてYIQ表現が使われているが、ITアーキテクトはそこまで踏み込む必要はないだろう。