本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきた、教わってきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療する、治療を受けるというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 今回は「問題解決力虚弱」の治療です。仕事を進めるのに欠かせないことは「問題を発見し、策を検討し、そして解決する」ことです。仕事では絶えず改善が必要になるので、課題を発見する力、策を比較検討する力、解決する力、それを事後評価する力が欠かせないのです。

 今日の患者さんも「課題解決に大きな問題がある人」でした。ビジネス文章ドクターになる前の芦屋は、ビジネス文章女医の女井エリカ(めい えりか)先生の助手をしていた時期がありました。今回の治療もこの頃の話になります。

患者Bさん(29歳 女性)の症例

芦屋:エリカ先生、おはようございます。

女井:(ビジネス精密検査の結果を見ている)

芦屋:エリカ先生?

女井:芦屋さん、昨日はビジネス文章学会だったんでしょう。参考になったかしら?

芦屋:ええ、本当によかったですよ。著名な先生方にも会えましたし、最近の治療技術にも触れることができました。エリカ先生も学会に参加すればいいのに。

女井:いいのよ。私はね。そういう活動はしないから。そう言ってるでしょ。無意味なのよ、ああいうの。

芦屋:はあ、そうですか。

女井:分かればいいのよ。ところで芦屋さん、あなたビジネス界で発生する三大疾病についてご存じ?

芦屋:エリカ先生、それは失礼な質問ですよ。僕は若い頃にビジネス疾患患者になって、それをエリカ先生に治してもらった。それで僕も、ビジネス文章医師を目指して勉強し直して、ここ白金のエリカ先生のクリニックに押しかけて助手になった。僕も、ビジネス文章医師免許を持っているんですから。