本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきた、教わってきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病にたとえ、それを治療する、治療を受けるというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 今回は「急性言い訳中毒」の治療です。仕事においては時に失敗や不具合に直面することがあります。この時に見苦しいのは「とっさの苦しい言い訳」です。時に言い訳は必要ですが、それは見苦しいものではなく、納得感のあるものでなければダメです。

 今日の患者さんも「言い訳」に問題がある人でした。ビジネス文章ドクターになる前の私は、ビジネス文章女医の女井エリカ(めい えりか)先生の助手をしていた時期がありました。今回の治療もこの頃の話になります。

西山かな子さん(仮名 24歳 女性)の症状

女井:芦屋さん、次の患者さん呼んでちょうだい。 これが最後よね?今日は神楽坂に飲みに行くわよ。

芦屋:エリカ先生、まだ診療中ですよ。

女井:いいじゃない。あなたも行きたいでしょ。

芦屋:そりゃ、まあ。

女井:白金からはちょっとあるから、早く仕事終わらせたいでしょ?

芦屋:はい、分かりました。次の方、西山さん、西山かな子さん、診療室にどうぞ。

西山:女井先生ですね。西山と申します。自由が丘でパンの販売の仕事をしてます。先生は、ビジネス文章治療で失敗しないと評判ですよね。

女井:そうよ。私、失敗しないの。

西山:素晴らしいですわ。ぜひ、よろしくお願いします。