本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきた、教わってきたケースを紹介しながら、様々な文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療する、治療を受けるというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 今回は「情報収集力不全」の治療です。仕事を進めるのに欠かせない要素として「情報収集」があります。情報を上手く収集し、自分のものにすることで、仕事が成功する可能性が高まり、失敗の可能性が低くなります。

 ドクター芦屋も、実は若い頃この病気に侵されていました。

 それを救ったのは、ビジネス文章女医の女井エリカ(めい えりか)という人でした。ビジネス文章ドクターになる前のヤング芦屋には、ビジネスをする上では致命的ないくつかの病気があったのです。

女井エリカ(34歳)医師の診断

女井:次は芦屋さん。あなた最近のビジネスはどう?

芦屋:エリカ先生に診てもらうようになってから、だいぶ良くなったと思います。ですが、まだ痛いところもあって。この前、上司に情報収集を指示されたのですが、報告したら「お前の仕事は痛すぎる」と嫌味を言われてまして……これも会社のビジネス健康診断で悪い数値が出ていた部分なんですよ。

女井:やっぱりそうなの?前回の理解力の時に、情報収集も痛そうだったから。合併症の疑いがあるわ。

芦屋:新しいことを情報収集すると、結果が悪いんです。それで、ここもしっかり治療して欲しいと思って来ました。

女井:そういうことね。やっぱり新しいことの情報収集が痛いのね。情報収集力と理解力は同じ脳の部分で司っているから、片方が痛いともう一方も痛いのよ。

芦屋:そういうものなのですね。ということは、理解力の治療を進めれば、ある程度情報収集力の痛さも治るということですか?

女井:ある程度はね。でも、情報収集の痛みには、それ専用の治療があるから、しっかり診ないと何とも言えないわね。でもあなたは会うたびに素直になっていくから、診断結果が悪くても治療はしやすいと思うわ。素直さは自己治癒の第一条件って、何度でも言わせてもらうわ。

芦屋:はい。素直に治療に向き合います。

女井:では、情報収集力を診てみましょう。上司に痛いと言われた文章を見せてちょうだい。

芦屋:はい。これです。

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