本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきたケースを紹介しながら、様々な文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 第22回の治療は「質問力欠乏症」の治療です。仕事をしていれば、関係者に質問をすることが多いと思います。この質問はとても大事です。なぜなら、質問することで、多くの情報が入手でき、それがあなたの仕事の成功を左右するからです。

 もし、ダメな質問しかできなければ、良い情報は入手できません。そうなれば、あなたは低く評価されてしまうのです。だからこそ、質問の力は大事なのですが、多くの人はそのことに気づいていません。

 今日の患者さんも、そういう鈍い人でした。

遠山アイ子さん (仮名25歳女性)の症状

芦屋:次の方は、ええと、遠山アイ子さんですね。今日はどうされましたか。

遠山:はい、仕事で結構悩んでおります。入社して3年、今年の初めくらいからなのですが、関係者にいろいろ聞いて情報を収集する機会が多くなりました。それが問題でございまして……。

芦屋:なるほど、ヒアリングや質問の仕事が多くなってきたと。企画っぽい仕事が多くなってきたということですね。

遠山:確かに、そうかも知れません。ですが、私は人に話を聞いたり、情報収集したりするのは苦手で……私はそういうのに向いていないと思うんです。でも、上司や上長はそういう仕事をさせたいのでしょうか。聞き上手じゃないですし、困るんです。

芦屋:なるほど。まあ、それは遠山さんの性格なら理解できます。でも、会社では、聞くことがとても大事です。その上で仕事をするわけですから、仕方がないですよ。それを嫌だと言っていたら、上手くいかないのではないかと思いますよ。

遠山:はい、その通りです。だから良い聞き方をするように努力をしているのですが、これが上手くいかないんです。聞く相手に「何が聞きたいのか」「どう答えればいいのか」とか嫌味を言われます。最後には皆ががっかりしているのが分かるので、もう嫌で情けなくて……。