本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 第20回の治療は「調査内容凡庸症」の治療です。仕事をしていれば、上司や上長に新しい概念の商品やサービスの調査を依頼されることもあります。この調査依頼はとても大事です。なぜなら、依頼主はあなたの調査結果で能力を評価してしまうからです。

 もし、調査結果が今ひとつであれば、「能力のない凡庸な人間」と低く評価されてしまうのです。でも、こんな大事なことなのに、多くの人はそのことに気づいていません。今日の患者さんも、そういう鈍感な人でした。

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西野ヤスコさん (仮名25歳女性)の症状

芦屋:次の方は、ええと、そうそう、西野ヤスコさんですね。今日はどうされましたか?

西野:はい、仕事で結構悩んでおります。入社して3年で、最近は上司や上長に調査レポートを依頼される機会が多くなってきました。それが、悩みの素でございまして……。

芦屋:なるほど、調査レポートの指示が多くなってきたと。まあ、力量を試されているということですね。

西野:いや、確かにそう言われればそうかも知れませんが、私は試されるのはちょっと嫌です。私の能力を評価しても面白くないと思うんですが、上司や上長はやはり評価したいんでしょうか……。私、ガツガツやるタイプじゃないですし、困るんです。

芦屋:なるほど。西野さんの性格なら理解できます。でも会社では、上司や上長は部下の能力を評価するのも仕事ですから、仕方がないですよ。それを嫌だと言っても、うまくいかないのではないかと思いますよ。