本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 第19回の治療は「説明時無結論症」の治療です。仕事は一人ではできません。時に、他人に状況を説明し、判断をしてもらったり、動いてもらったりするケースが生じます。自分ではなく、他人にやってもらわないといけない仕事を進めてもらうには、他人にその内容を正しく伝える必要があります。それに必要なのは、「要は何なのか」を示す「結論」です。

 しかし、その結論が伝わらない説明をする人がいます。今回の患者さんは、そういう人だったのです。

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◆広田ゴロウさん(仮名 26歳男性)の症状◆

芦屋:広田ゴロウさんですね、今日はどうされましたか?元気がないですね。嫌なことがあるのですか?そういう表情をされていますよ。

広田:はい、実は最近他人が怖くて……。ちょっと不安定なんです。僕は今入社4年目なんですが、最近独りで仕事を進めてその状況を上司や上長に説明をする機会が増えまして……。

芦屋:はい、なるほど。