いつもと趣向を変えた「極言暴論スペシャル」も第3回。今回のイシューは「抵抗勢力と化したIT部門の技術者」について。日経コンピュータ誌上で、元ソニーCIO(最高情報責任者)で現在ガートナー ジャパンのエグゼクティブパートナーの長谷島眞時さんと論争することになり、この極言暴論スペシャルはそれを事前に盛り上げるための企画だ。

 日経コンピュータでの誌上バトルは、10月2日号から「IT部門への“暴論”を斬る」と題する連載として掲載する。毎回、私の極言暴論を一つ取り上げ、長谷島氏が反論を書く形となる。技術者の抵抗勢力化は、IT部門の組織としての劣化と共に根深い問題であり、必ずしも技術者に全ての非があるわけではないので悩ましい。長谷島さんが何と反論するかは、私にとっても興味深い。

 その前にここでは、IT部門の技術者の抵抗勢力化とはどういうことなのか、なぜそうなってしまったのか、その結果どんな問題が生じており解決策はあるのか、などについて“暴論”する。基本的には、極言暴論スペシャルの第2回で述べたIT部門の劣化と表裏一体の話のため、抜本的な解決のためにはIT部門を一度ぶっ壊すことが必要だ(関連記事:劣化の進んだIT部門の再建は不可能)。

 だが、IT部門という組織がそのままであったとしても、技術者という個人は自ら変わろうと思えば変われるはずだ。しかも、ITをビジネスに生かしたい事業部門は、ITの専門家の立場で一緒に仕事をしてくれる技術者を求めている。それなのに、なぜIT部門という“奥の院”に閉じこもり、「それはダメ」「これはできない」を繰り返すのだろうか。

 実は、大手製造業や金融機関ではIT部門自身も、できない理由ばかりを口にする技術者の再活性化が大きな課題となっている。変わるきっかけを与えようと、人事交流で事業部門に異動させても、先方から「仕事に受け身で使いものにならない」とクレーム付で送り返される始末。そして問題は、そんな人が大勢いることである。