「社内外の力を結集してイノベーションを」。こう発言する経営者は多い。その実現にあたっては、複数の部門や組織を見渡し、まとめていく力が必要だ。情報システム部門は各部門の仕事の進め方を整理し、把握できる立場にある。組織を横断して物事を進める考え方や手法、前提知識に関する書籍を紹介する。

 「君の発言は所属部門に関わることばかりだ。マネジメントの一員なのだから、もっと会社全体について考えてもらいたい」。時として経営者は、社内の各部門長に苦言を呈する。その一方で戦略や業績の発表に臨み、「当社には様々な知見や技術がある。これらを融合させて既存事業の価値を高めるとともに、新しい事業を生み出していく」と抱負を語る。内向けと外向けの発言は表裏一体で、要するに「複数部門を見渡し、各部門の力を取りまとめていく」ということである。

 情報システム部門の責任者や担当者は情報を管理する立場にあり、経営者の期待に本来応じやすい。だが「間接部門」「コストセンター」と見られていることもあって、情報システム部門の責任者は自部門の経費削減や部員の異動ないし処遇などを考えがちになる。取りまとめたくても、生え抜きの情報システム部員は、直接部門の仕事を案外理解できていなかったりする。

普段読めない本を読んで意見交換

 情報システム部門の責任者や担当者が「複数の部門の業務を見渡して、各部門の力を取りまとめていく」には、事業の全体像を頭の中に描けなければならない。そのために役立つ書籍を15冊紹介する。これから夏休みを取る読者の方は、普段手に取れない書籍をひもといてはいかがだろう。夏休みを終えた方は同僚や部下、後輩と共に読書会を開いてはどうか。普段の会議では出てこない意見を交換することができれば素晴らしい。

 まず紹介するのは「組織を横断して物事を進めるための本」5冊である(写真1)。いずれも複数部門の力を取りまとめるやり方を述べたものだ。主な狙いはイノベーションであり、その解説本が2冊含まれる。これらを読んですぐに実践できるわけでは無いが、イノベーションを進めるための活動の概要を理解できるだろう。

写真1
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