社長から「情報システム部門のビジョン」を問われたらどう答えるか。ビジョンは、不変の基本理念と可変の将来像から構成される。部門から“火星派遣団”の団員を選び、理念を見つけ出す活動をさせてみよう。興奮を呼び起こす大胆な将来像を描く。それは部門長の役目である。

 「君はどのようなビジョンをもって情報システム部門を率いていくのか」。

 所属する企業や団体の経営者やトップからこう問われたらどう答えればよいだろう。「ビジョン」という言葉が使われるかどうかはともかく、情報システム部門の責任者が中長期の運営方針を問われる可能性は大いにある。

 経営幹部に「ミッションシート」なるものを書かせて年度初めに社内で発表させる企業であれば、情報システム部門の責任者も自部門の将来を考えた上で自分の任務を考えることになる。そうした制度が無くても、経営者が何かのおりに「つまるところ君は情報システム部門をどうしたいのか」と問い質してくるかもしれない。

図●『 ビジョナリーカンパニー』著者ジム・コリンズ氏が提唱するビジョンフレームワーク
図●『 ビジョナリーカンパニー』著者ジム・コリンズ氏が提唱するビジョンフレームワーク
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 この質問は本質的なものだから、「ビジョンは不要、実行あるのみです」などと逃げてはまずい。情報システム部門の責任者は自部門のビジョンについて日頃から自問自答しておくべきだ。とはいえ「ビジョンとは何か」と考え始めると悩ましくなるので、以下ではベストセラー『ビジョナリー・カンパニー』シリーズ(現在5冊を刊行)の著者、ジム・コリンズ氏が提唱する「ビジョンフレームワーク」に沿って考えてみたい()。