数行のコードで、Webサイトやスマホアプリにクレジットカード決済機能を導入できる。審査もわずか数日。信用力に乏しいスタートアップには大変有り難い。こんな決済サービスを始めたのが、久保渓氏が創業したウェブペイだ。
 創業の背景を久保氏は「決済の非効率性が日本のスタートアップの重荷になっている」と述べる。

写真:新関 雅士
写真:新関 雅士

 日本には、スタートアップに適した決済サービスがない──私がそこに気づいたのは2012年のことです。

 米国留学中にクラウド系のスタートアップを立ち上げた私は、サービスを日本市場に持ち込むに当たり、日本のユーザーから料金を取るための決済手段を調べました。当時、クレジットカード決済機能なんて、1~2週間でサイトに実装できると思っていました。

 ですが、日本の決済サービスはスタートアップにとって恐ろしく非効率、かつ不透明なものでした。まず、決済サービスの仕様書を受け取るだけでもNDA(機密保持契約)が必要。しかも、仕様書はPDFで100ページ以上にのぼり、読み込むだけで大変な時間がかかります。しかも、決済サービス各社が独自の仕様を採用しているため、学習コストがとんでもなく高い。審査を含めると、決済機能の実装に数カ月かかってしまいます。

 これでは、数日単位でサービス開発の速さを競うスタートアップの時間軸には全く合いません。さらに、手数料の決め方に透明性がなく、提示された手数料が適正かどうか分からない。決済サービス会社を3社ほど比べましたが、いずれもそのような状況でした。