スモールビジネス向けの経費精算で国内外の市場を狙うクラウドキャスト。国内会計ソフト大手の弥生と資本提携し、英企業とも業務提携した。社長の星川高志氏は米マイクロソフトに在籍した経験を生かして、海外人材を積極活用。40代ベンチャー経営者として星川社長は、「若手とは違うやり方がある」と語る。

写真:寺尾 豊
写真:寺尾 豊

 私たちはスモールビジネス向けに簿記や会計知識がゼロでも使えるスマートフォンのファイナンスアプリ「bizNote(ビズノート)」を開発しました。レシートをモバイル端末のカメラで撮影して自動的にデータ化し、キャッシュフローの把握や会計ソフトなどとの連携ができます。

 開発のきっかけは、会計ソフト「弥生会計」で知られる弥生が2011年12月に開催した「弥生スマートフォンアプリコンテスト」。開催2カ月前に知り、25万件の導入実績がある個人向け家計簿アプリを基盤に、スマホから弥生会計への入力を支援する「bizNote for 弥生会計」を新たに開発しました。

 コンテストでグランプリを受賞したのをきっかけに、2013年5月に弥生の出資を受けて業務提携。弥生の岡本浩一郎社長が毎月の取締役会に参加し、開発チームとの共同開発も進めるなど、期待以上の提携効果が出ています。

 弥生の国内シェアは圧倒的で、有料ユーザーは100万社超。実はコンテスト前からアプローチしたいという思いがありました。今年公開したスマホ用経費精算アプリ「bizNote Expense」は従来の経費精算システムの10分の1の価格。経費精算をキラーアプリに、bizNoteはスモールビジネス向け「プチERP」にしたいと思っています。

 現在、ベンチャーの開業率を上げようと政府や自治体が多くの支援制度を用意しています。ただ開業後に次の段階に発展できない「死の谷」を乗り越えられるのはごく一部。そこで重要になるのがファイナンスツールです。表計算ソフトや紙で経費精算するスタートアップ企業が多いのが実態であり、そこに私たちのアプリを使ってもらえれば廃業率を下げられると思っています。これが私たちのミッションで、経費精算の世界市場を狙っています。