西澤 敬二氏
西澤 敬二氏
1980年安田火災海上保険(現損害保険ジャパン日本興亜)入社。富山支店長、自動車業務部長を経て、2008年4月執行役員営業企画部長。2010年4月常務執行役員、同年6月に取締役常務執行役員。2012年6月、損保ジャパン日本興亜ホールディングスの取締役執行役員に就任。2014年9月グループCIOに就任。新事業、情報システムを担当。損害保険ジャパン日本興亜の代表取締役専務執行役員を兼ねる。(写真:中島 正之)
[画像のクリックで拡大表示]

 2014年9月1日、損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が合併した。それまでの2年強、4万5000人月に上る大規模なシステム統合プロジェクトに取り組んできた。2014年7月には、2000を超えるシステムの約9割が使えるようにした。システム統合のメドはついたので、次の施策に重心を移していくつもりだ。

 合併と同時に、私はグループCIOに就いた。その際、システム担当役員として何をするべきかをかなり考えた。企業がCIOを任命する際には、大きく二つのケースがある。一つは、ITの専門家を任命する場合。もう一つは、情報システムについては詳しくないが、例えば経営企画などを経験してきた人物を配置する場合だ。

 私は後者のケース。当社の経営トップは、経営戦略にもっと深くITを関わらせたいと思っている。長い間、経営企画部門を担当する一方、決してITに詳しいとは言えない私を情報システム担当に任じたのは、その表れだと理解している。

 CIOに就任したとき、傘下の事業会社にあるIT企画部門とシステム子会社である損保ジャパン日本興亜システムズの社員に対して、それぞれ1時間ずつプレゼンテーションをした。私の思いを直接伝えたかったからだ。

 まず彼ら彼女らに話したのは、経営そのものの企画戦略スタッフになって欲しいということ。従来、IT企画部門はあくまで情報システムの企画を担ってきた組織だったが、私はテクノロジーの進化が当社の経営に相当なインパクトをもたらすと想定している。これはCIOに就く前から、考えていたことだ。だからこそ、IT企画部門のスタッフは経営戦略を支える人材であることを強く認識してもらいたかった。