当社のシステム運用で自慢できるのは日本企業としていち早く、分散並列処理技術「Hadoop」を使ったビッグデータ解析や共同利用型の「パブリッククラウド」の活用に取り組んだことだ。2008年ごろから本格的に使い始めており、長年蓄積したノウハウには自信がある。

スーパーエンジニア頼みはもはや通じず

福田 一郎氏
福田 一郎氏
東京大学大学院工学系研究科を卒業し、2008年入社。仮想空間サービス「アメーバピグ」の開発や統合ログ解析基盤の開発を担当した後、2010年に秋葉原ラボを設立。室長に就任し、社内横断で使える大規模データ解析や検索システムなどの開発指揮を執る。2014年からは技術本部の本部長となり、社内エンジニア集団を統括する立場に。趣味は「地下アイドル」の応援。鳥取県育ちの31歳。(写真:菊池くらげ)
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 私の役割の一つは、ブログや交流サイト、ゲームなど毎月のように生まれる多種多様なWebサービスを介して収集する、膨大なログデータを管理する基盤の開発とその運営だ。自社開発した分散ストリーミング処理基盤「Onix」でリアルタイムにデータを集めて処理する体制を整えている。

 開発を一手に引き受けている研究開発(R&D)組織が「秋葉原ラボ」である。現在25人がデータ利活用に関する最新論文に目を光らせ、実証実験を繰り返しながら基盤の価値向上に取り組んでいる。検索技術や機械学習、有用な情報を見つけ出すデータマイニング技術などを駆使。課題発見やサービスの向上に役立てている。

 最近痛感するのは、猛スピードで進化し続けるWeb業界では、あらゆる分野に精通した一人のスーパーエンジニアに頼り切りで開発案件をこなすことが不可能に近くなってきたということだ。技術部門の社員1人ひとりがそれぞれ知見を磨き、その上で手をつないで協力しあえる体制を作り上げなければ、勝負に勝てなくなる。