土屋信人氏
土屋信人氏
1955年生まれ。1980年に中央大学経済学部を卒業し、昭和産業に入社。船橋工場長や生産センター所長などを経て、2009年に執行役員、2012年に常務執行役員に就任。2014年より現職(写真:稲垣純也)
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 当社は、小麦や大豆、菜種、トウモロコシなど多品種の穀物を扱っている総合型の「穀物ソリューション・カンパニー」だ。各事業を単独で行うのでなく、それぞれの強みを融合させた“複合ソリューション”で他社との差異化を図っている。

 複合ソリューションを実現するには複雑さが伴う。ここで重要になるのが、多岐にわたる情報を統合的に管理するための情報システムだ。2012年に12億円を投じて、中核となるシステムを刷新した。

 全体最適を追求し、統合型の基幹業務システムを構築した。従来は、業務ごとにばらばらで部分最適なシステムだったからだ。原料の調達から生産、販売に関する情報が業務ごとに分断されており、会社全体の業務効率がなかなか上がらなくなっていた。

 新しいシステムを導入したことで、それぞれの業務の品質や効率が向上した。会計や購買、生産、販売といった全ての業務に関するデータの透明度が高まり、各工程のどこに問題があって、どう改善すべきなのかが以前よりも素早く把握できるようになった。

 このシステム構築プロジェクトは、システム部門の変革の転機にもなった。例えば、システム戦略の立案方法がそうだ。全体最適なアプローチの重要性を学んだことで、以前よりも長期的な視点でIT投資を計画するようになった。

 システム部門に求められる役割も変わった。従来は事業部門のシステム化ニーズに対応することが主な役目だったが、今後は業務改革の先導者にならなければならない。業務の課題をきっちりと把握し、解決のためにどのような技術や製品・サービスを使うのが得策なのかを見極める。最適なITソリューションを選択し事業部門の業務改革に貢献することが、我々の使命だ。