瀬川大介氏
瀬川大介氏
1954年生まれ。1980年リコー入社。米国、カナダ法人などを経て、1998年リコー経理本部財務部長。総合経営企画室経営戦略部長、同室新規事業企画部長を経て、2004年同室長。2005年執行役員に就任し、2006年執行役員経理本部長。2008年にリコーと米IBMとの合弁企業である米インフォプリント・ソリューションズ・カンパニーに出向し、シニアバイスプレジデント、社長兼CEOを歴任。2011年から米リコープロダクションプリントソリューションズ社長兼COO。2013年に帰国し経理本部長などを務め、2014年4月から現職。(撮影:新関雅士)
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 私は厳密にはCIO(最高情報責任者)ではない。実は、リコーは2014年4月にCIOの職を廃止した。同時に、IT部門に当たる「IT/S本部」を発展的に解消して「経営革新本部」を新設し、私はその本部長に就任した。

 リコーのCIOと言えば、現・内閣情報通信政策監(政府CIO)を務める遠藤紘一氏(関連記事:「わからないからわかるようにしてくれ」遠藤紘一・内閣情報通信政策監)が以前務めたことで広く知られている。三浦善司・代表取締役社長執行役員もCIOを務めたことがある。

 そのCIO職を廃止したわけだが、ITを軽視するわけではない。「CxO」という名称にこだわりはない。CIO廃止よりも重要なのはIT/S本部を廃止したことだ。

 旧IT/S本部の人員加えて、他の本部にあった経営企画機能の一部やBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)機能を担う人員を組み込んで、約280人体制の経営革新本部を新設した。副本部長には旧IT/S本部長の石野普之を充てた(関連記事:「TOEIC300点台からグローバルIT人材への道」、リコーのIT部門長が講演)。

事業構造変革のために必要だった決断

 IT/S本部は20年ほど前からあり、リコーのITを支えてきた。この組織をなくすのは大きな決断だった。私は、リコーのIT革新のスピードを上げるためには組織再編が必須だと強く考えていた。

 リコーにとって今必要なIT革新とは、新規事業を創出・成長できる態勢を作るためのIT革新だ。現在の当社では、デジタル複合機を中心とする「画像&ソリューション分野」が中核事業である。このセグメントの連結売上高は1兆9704億円(2014年3月期)で、全社売上高の88%を占める。営業利益は1846億円あり、いわば“金のなる木”だ。