直井研究員(以下、直井):所長~。ちょっと聞いてください。すごくビックリしたんです!
平野所長(以下、平野):目がらんらんだね。そんなにすごいことがあったのかい?
直井:昨日、ランチビュッフェに行ったんです!そしたらたくさんの品数があって、どれもとってもおいしくって、ちょっと待たされましたが待った甲斐がありました!所長もぜひ行ってみてくださいね!
平野:そっか、よかったね。
直井:え?それだけですか。
平野:何かいいことがあったらしいことは表情を見たら分かるけど、まぁ、直井さんが満足したならいいんじゃないのかな?
直井:所長はつれないなぁ~。まったく感動ってものがないですね。もっと毎日いいことを見つけて感動した方がいいと思いますよ!
平野:いや。私のことは気にしなくていいよ。そもそも、直井さんの伝え方にも問題があるよ。
直井:え~。じゃあ、所長だったらどう伝えるんですか?
平野:そうだね。さっきの例ならば……「昨日、○○にある○○ホテルのランチビュッフェに行ったんです!90分待ちだったんですが待った甲斐がありました。フランス料理、中華料理、トルコ料理と、世界の三大料理を総なめです。もちろん和食もありましたし、イタリア料理もありました。そしてデザートだけでも50種類。もぉー、直井感激です!胃袋がはち切れました」とまあ、こんな感じかね。
直井:なんだか所長の言い方の方がおいしそうに聞こえますね。しかも高級感がありますし、行ってみたいなって思います。
平野:直井さんの言い方は具体性に欠けていたんだよ。具体的な場所やお店の名前、料理の内容、待ち時間、感激したこと。それらをきちんと伝えることによって、話が立体的に見えるんだ。「すごく」「たくさん」「とっても」「ちょっと」と言っても人によって感じ方は違うから、言葉からは分からないところを補って話を聞かなくてはいけない。そのため話に集中できないこともあるんだ。
直井:「すごく」ってどのくらいだろう……。「このくらい?」「いやこのくらいでは?」と考えながら話を聞いていると、確かに集中できませんね。それに発言者の意図とは異なる解釈や異なる程度でイメージされる可能性もあります。それってメールも同じですね?
平野:そうだよ。メールの場合は文字だけで伝えるし、相手の表情や声のトーンなどから程度を図ることができないからね。具体性は大事だよ。
直井:話すときも、メールを書くときも、気を付けます。
平野:じゃあ、今日は具体性のある説明について解説しよう。