直井研究員(以下、直井): 読者さんが出会った驚きのメールルール。いよいよ今回が最終回です。

平野所長(以下、平野):私の手元には100通を超える投稿があったが、どれも驚くようなものばかりだったね。

直井:「好きな本を書く」「だじゃれを一つ書く」というのも面白い取り組みでしたね。今回もいろいろありますよ。早速、一つめをどうぞ。

 メーカーで働いており、入社後すぐは、社内の固すぎる文章に驚きました。宛名は「◯◯主任殿」で、日本語としてやや間違っている気がしますが役職の後には必ず「殿」。役職がなければ「◯◯社員殿」です。件名を指す「首記の件」もしくは「頭書の件」から始まり文章が終わると「了」や「以上」で、お願いするときは「◯◯して頂き度」と「度」で止めます。
 文面では初めて見る日本語が多々あり、知らない言葉が出てくるたびにインターネットで調べていました。社外の取引先とのメールであれば分かりますが、社内の比較的知れた相手でもこの文面は徹底しています。未だに固すぎる文章には慣れません。(製造業 20代・女性)

平野:相手の名前に「殿」をつけるというのは比較的頻繁に見かける。ただ、「直井社員殿」というフレーズはあまり聞き慣れないね。それよりも、そのあとの表現が硬いなぁ。

直井:「標記の件」「表題の件」というのもメールで見かけることがありますね。この表現は、件名を見ないと何の件か分かりませんね。

平野:件名を見ずに本文を見る人もいるからね。

直井:それなら本文にも件名と同じように用件を書いたほうがいいですね。

平野:「以上」で締めているメールをたまに見かけることがあるけど「了」は初めて聞いたよ。勉強になるなぁ~。

直井:でも、この方の会社では当たり前に使われているんですよね。

平野:そうだね。ビジネス文書の電子版としてメールが使われているようだ。感情は込めず、ビジネス文書のルールに従ってメールを書く。その結果がこの硬い文章につながっているようだね。