直井研究員(以下、直井):所長〜。気になります〜。気になって仕事が手に付きません。

平野所長(以下、平野):何が気になるの?

直井:その「Enterキー」は間違っているって言いたいんです。

平野:「Enterキー」?

直井:そうです。タイミングが悪いんです。

平野:「Enterキー」のタイミング? あ!改行のことだね。確かに、人によって改行のタイミングは大きく異なる。私も研修の現場で「そこじゃないですよ。その前の文節で改行してください」って言うことは多いからね。それにしても、心が「Enterキー」に奪われて仕事に集中できないのは困るな。

直井:この前、新幹線に乗って出張に行ったときのことです。隣の席でスーツ姿の男性が「う〜ん」ってうなりながらパソコンをしていました。しかも「Enterキー」を押す音が大きくて、気になってしまって。

平野:パソコンのキーを打つ音が大きな人はいるね。「Enterキー」の時だけ、やたらと気合いが入っている人を見かけたことがあるよ。恐らく「Enterキー」を押す瞬間に、ちょっとした達成感があるのだろう。まあ、直井さんも神経質にならず。公共の場だから、ある程度の我慢も必要だね。

直井:はい。それで寝ようと思ったんですが、横を向いたらメールの画面が視界に入ってしまい「改行のタイミングが……」って思ったら気になってしまって、ますます寝られなくなりました。

平野:それはとんだ災難だったね。それにしても、最近は新幹線でノートパソコンを開いている人が多いのが気になるよ。私も移動中に仕事をすることは多いけど、それでもメールは書かないなぁ。誰が見ているか分からないからね。

直井:所長は、そんなに人に見られたら困るような、恥ずかしいメールを送っているんですか?

平野:まったく……。冗談はさておき、セキュリティの意識を高めないと悲惨なことになるよ。