直井研究員(以下、直井):あれ?知らないおじさんがいる……。

見知らぬ人:知らないって……?直井さん、大丈夫?

直井:はい。私は、確かに直井です。あの、どちら様ですか?

見知らぬ人:誰って……所長だよ。ビジネスメール研究所の平野友朗だよ。

直井:うーん。

平野所長(以下、平野):どうしちゃったんだい?まったく。ぼーっとしちゃって。しかも記憶がなくなったのかい?直井さんの仕事はメールの教育だよ。それも忘れちゃったの?

直井:私の仕事はメールの教育……。

平野:どうしちゃったんだろうね。

直井:メールのことをちょっと忘れちゃったので、また一から教えてください。宛名の書き方、挨拶の仕方など最初からお願いします。

平野:なるほど……そう来たか。その手に持っているICレコーダーが動かぬ証拠だ!

直井:え?

平野:先日、7月までにビジネスメールの基本をまとめるようにと依頼をしたが、私に話をさせて原稿にするつもりだね。

直井:はっ。ばれましたか……。でも、いいじゃないですか。締め切りぎりぎりになってから原稿を書くよりも、今から取り組んだ方がいいです。所長がよく言う前倒しです。

平野:なんだか、からかわれているだけのような気もするが仕方がない。今日から数回にわたって、絶対に押さえてほしいメールの基本。この話をしていこうか。