写真1●事故があった時に、その様子を撮影しSNSに投稿する人が話題になることがある(写真はイメージ)
写真1●事故があった時に、その様子を撮影しSNSに投稿する人が話題になることがある(写真はイメージ)

 事故や火事に遭遇したときに、助けるのでもなく通報するでもなく、ただ携帯電話やスマートフォンのカメラを向けて撮影する人たちが話題になることがある(写真1)。撮影する人にとっては目の前で起こっている事故や災害は他人事であり、SNSに投稿するためのネタに過ぎないようだ。

 2001年9月11日に起きた、米国の同時テロ多発事件に関連して、こんなことがあった。事件からだいぶ経過した後、当時近くに滞在していた人から、「あのとき現場のすぐ近くにいた。写真を撮らなきゃと思って、慌ててカメラ持って来て撮った」と、世界貿易センタービルのツインタワーから上がっている煙を背景に笑顔で映っているその人の写真を見せられたことがある。

 おそらく何も考えないでやったことだろうが、この事件で何が起きたのか分かっていたらできないはずだし、この写真を見たら不快に思う人もいるだろうと感じたものだ。その当時はまだSNSがなかったため、写真はその人の周囲に見せるだけだった。SNSが普及した今では、このような写真をSNSに投稿し、世界中に公開する例が多発している。

 筆者はTwitterで、肉親の遺体写真や事故で亡くなった友達を囲んだ集合写真が投稿された例を見たことがある。投稿した人は、亡くなった人の写真を撮影してTwitterを使って全世界に公開する行為に問題があるとは考えていないのだ。そこには常識の欠如や感覚のずれと共に、すべてをSNSへ投稿するネタととらえて行動する、依存にも近い姿勢が見える。

天皇陛下をスマホで撮影、Twitterに投稿

 2014年5月に天皇皇后両陛下が私的な旅行で栃木県を訪れた際、ある女子高生が正面の至近距離から両陛下の写真を撮影し、「小山駅に天皇陛下いた…ベストショット撮れた…;_;」とTwitterに投稿したことが話題になった。筆者も写真を確認したが、天皇陛下は穏やかな笑顔で手を振られ、皇后陛下も隣でほほえまれていた。