サッカーやラグビーなどスポーツの世界では、選手のチームワークが極めて重要である。選手個々人が優れた技術力を持ち、お互い連携し助け合いながら自分のポジションの役割を果たす。そして一丸となって、勝利に向かって突き進む。そんなチームは強い。

 第一線のSEの世界も同様である。SE一人ひとりが高いスキルを持ち、お互い連携し助け合い、切磋琢磨しながら一つのゴールに向かって仕事をする。そんなSEチームはしっかりした仕事をする。生産性も高い。

 だが、現実のIT業界のSEのチームワークは、今も昔も決して良いとは言えない。ある意味でSEのチームワークは、IT業界の永遠の課題とも言える。

 日本のIT企業では「プロジェクトがトラブルに陥る」「SEが育たない」と当たり前のようによく言われる。筆者は、それらは全てSEのチームワークと無関係ではないと考えている。そこで今回は、このSEのチームワークについて述べる。

SEの仕事はチームワークが欠かせない

 第一線のSEの仕事を考えると、チームワークは極めて重要である。SEにとって技術力は不可欠だが、それと同じくらい重要である。筆者はそう考えている。

 そして筆者の現役時代は、部下のチームワークを重視し、その指導に力を注いだ。なぜそう考えたか、その理由を次に述べる。

 SEが日ごろ行うシステム開発や提案活動には、メインフレーム、サーバー、PC、OS、ネットワーク、プログラム言語など、数多くのシステムや製品とアプリケーションのスキルが必要である。しかも、ITの世界は技術の変化が激しく、新しいアーキテクチャーやシステムや製品などがどんどん出てくる。そしてシステム開発などで扱うシステムや製品など、その数は非常に多い。俗に言う古いシステムや製品、新しいものなど色々ある。

 だが、いかにできるSEでも、アプリケーション、OS、ネットワークなどいろんなシステムや製品全てに精通できるものではない。それは不可能に近い。SEというものは、そういう性格をもった職業である。これには誰も異論はないと思う。

 そうなると、システム開発を行う時にはアプリケーション、OS、ネットワークなど各分野にある程度強いSEがチームを組んで、一丸となってカットオーバーを目指して仕事をする。システム提案を作る際には、関係するシステムや製品など各分野に強いSEが知恵を出し合い、受注を目指して仕事をする。そして提案活動を展開する。